第4話 出口のない話

―――――――――夜景の見える丘。


「この間の話だけどさ。」

「うん。」


僕は仕事帰りに蘭華と丘に来ていた。


「侑くんさ。」

「うん」

「一人の方が楽じゃない?」

「なんで?」

「めんどくさいこと考えなくていいから。」


蘭華はじっと僕の目を見た。

…綺麗な目をしている。


「どうする?」

「なにが?」

「私に飼われたい?」

「断る」

「なぜ?」

「全部めんどくさい。誰も信じたくない。」

「まぁね…。怖いよね。内心馬鹿にされてたり、受け入れて貰えてなかったり、本当は軽蔑されてたりしたらね。」

「うん…。」


蘭華は自然に僕を包み込んだ。


「ここ、風気持ちいいね。」

「うん。」

「…そうね。貴方は奥深くで拗れて手がつけられなくなってるからね…。どうしたらいいかな。」



――――――――――――「何してんのこんなとこで。」



僕の隣に咲が座った。


「その方は?」

「『咲』。俺の奥さん。」

「そう…。」

「うん?」

「まぁ別に何してた訳でもないし。」

「うん。」


「帰るよ。帰ってご飯食べよ。」

「そうだね。」

「その方送ってから帰ってきていいから。」

「疑ってるわけじゃないの?」

「疑って欲しいの?」

「疑っても何も出てこない。」

「でしょ?見てたらわかる。あんたが頼ってるだけ。この人はあんたに何も感じてない。こんな所から歩いて帰らせる方が罪深い。送ってあげて。」




―――――――――――――――。


「おかえり。」

「ただいま。」

「何の話してたの?」

「夜の話。」

「解決した?」

「迷い込んだ。」

「あの人の仕事は?」

「女王様。分かりやすく言うと。」

「そんな感じね。」


咲は怒るわけでもなく淡々としていた。


「あんたの答えはその世界にはないのかもしれないよ?」

「うん。そんな気もしてきた。」



「ご飯、出来てるよ。」

「食べる。咲さんも一緒に食べよ?」

「そうしよっか。」

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