第16話

【アイシア視点】


 マグナムの股間を押さえた右腕のスティングリボルバー。

 マグナムは戦闘態勢に入っている。


「アイシア、僕の事を大人って言ったよね? 大人だったら何でもしてくれるって言ったよね? 約束だよ」


 マグナムはスティングリボルバーを私に見せた。


「待って、まだ体を洗ってい無いわ」


 私はマグナムの体を洗う、スティングリボルバー以外を洗う。


「アイシア、僕は大人だからヤッテくれるよね?」


 マグナムがいつもより大きく見える。

 小さいのに大きく見える。

 まずい!

 まずいまずいまずい!


 マグナムは力が強い、マグナムがその気になれば私が負けちゃう!

 マグナムのスティングリボルバーで私の初めてが奪われちゃう!

 落ち着くのよ、アイシア、私はたくさんの子供を洗って来たわ!

 焦っちゃダメ!


 私はマグナムを洗いながら頭をフル回転させた。

 スティングリボルバーがスティングリボルバーでなくなればいい。

 スティングリボルバーを全部撃たせればいい。

 そうよ、私は過去の記憶を思い出す。

 おばあちゃんの言葉が私にひらめきをくれた。

 おばあちゃんのあの言葉に勝機を見いだす。


『男の発射は3発までじゃ』


 3発、そう、3発撃たせてしまえばいい。

 幸いまだマグナムのスティングリボルバーを洗っていない。

 今洗って発射させてしまえばいい。


 でも私の腕は石を加工して疲れている。

 今でも腕から先が痺れている。


 あきらめちゃ駄目よ、アイシア。

 私はテクニックには自信がある。

 おばあちゃんから何でも学んできた。


『手で発射させる時は締め付けの再現が大事じゃ』


 答えは分かっている。

 手で包み込むのは本番の再現、締め付けが大事、適度にスティングリボルバーを包み込みながら撫でて3発発射させる!

 これでマグナムはただの子供になる。

 スティングリボルバーを使い尽くしてもらえばいい。


 マグナムを膝に座らせて後ろから抱きかかえるようにして前を向かせた。


 手でマグナムのスティングリボルバーを包み込むように握った。


「スティングリボルバーが大人なままだったら何でもするわ。スティングリボルバーがスティングリボルバーのままならね?」


 マグナムのスティングリボルバーを包み込むように撫でる。

 私の中にスティングリボルバーが入ってくる事をイメージしながら手でスティングリボルバーを包み込む、そして手を動かす速さもスティングリボルバーの発射を促すために試行錯誤する。


 私なら出来るはずよ。

 錬金術で鍛えた器用さと子供達を洗ってきた経験、そしてマグナムの反応を見て発射を促す。

 錬金術と同じ、失敗して試行錯誤して工夫して改善する、その繰り返しを今すればいい。

 私の手で実際にスルより気持ちよくなってもらってマグナムの大人を子供に変える。


「ああ、ずるい! 僕を大人って言ったのに!」

「スティングリボルバーを洗ってからよ。洗うって言ったわよね? 気持ちいい? いいんでしょ?」

「気持ち、いいけど、ずる! ああああ!」


「そう、この速さがいいのね」

「ずるい、ああああああああああ!」

「この握り方が好きなの? 反応で分かるわ。発射しなさい」

「あああああああああああああああああ!」


 1発、1発発射出来た。


「はあ、はあ、まずは1発、まだ洗い終わっていないわ」

「あああ! そうやって手で済ませようとして! ふっくううう!」

「気持ちいいでしょ? 気持ちいいのよね? 気持ちいいならいいじゃない」

「まけ、ない! アイシア、腕が疲れたでしょ? 僕の好きにするからアイシアは寝てていいよ、ふっく、あああああああああああああ!」


「我慢してないで発射しちゃえば? 我慢は良くないのよ? スティングリボルバーを撃たせてあげる。スティングリボルバーの弾数は3発よ」

「アイシア、手が、疲れてるよね? わかって、ああああああああああああああ」

「黙って洗われてスティングリボルバーを子供にしなさい。手が動かなくなる前に子供にしてあげるわ」

「ああああああああああああああああああああ!」


 2発目の発射、マグナムに効く手の動きが分かってきた。

 でも腕が痺れてきた。

 握力も無くなってきた。


 く、私の右腕が!

 だめよ。

 負けてはいけない。


 私はお姉さんなのよ。

 マグナムは子供、私はたくさんの子供を洗ってきた。

 子供のマグナムは子供のままでいい、私を好きに出来ないように分からせてあげる。


「アイ、シア、無理、しないで、あああ、あああああ」

「なあに? マグナムがうまく喋れていないから言っている事がよく分からないわ。スティングリボルバーをこうされるといいのよね? スティングリボルバーをこうされると気持ちいいんでしょ? よくて話が出来ないほどいいのよね? 次で終わりよ。ほら、発射しなさい」


「まけな、い、あああ、あああああ」

「はあ、はあ、我慢しても、だめ、よ。く、私の、右腕が!」

「はあ、はあ、手がふるえ、てきた、ね? 無理、しなくていいよ」

「はあ、はあ、まだ動けるわ」


 手が動かなくなってもいい。

 最後の力で一気に3発目を発射させる。

 そうすれば私の勝ち。

 スティングリボルバーを無力化してあげる。

 マグナムは子供のまま、それでいい。


 私は最後の力を振り絞って手を動かした。

 腕が痺れても、スティングリボルバーに勝てばいい。

 さあ、小さな子供になりなさい!


「く、あがああああああああああ」

「はあ、はあ、マグナム、諦めて、気持ちいいでしょ? スティングリボルバーをこうされると気持ちいいのよね? こうされるのが好きよね? ほら、いいのよ、最後の弾を撃っちゃいなさい」

「ああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 3発目、発射完了。

 これでスティングリボルバーは全弾撃ち尽くした。

 私の勝ちよ。


「……え?」

「僕はまだ、元気だから、大人だから!」

「……ありえ、ないわ」

 

 もう、腕が痺れてこれ以上は無理よ。

 もう、できない。


「僕はまだ元気だから! 大人だから!」

「そ、そろそろ上がるわ」

「温泉に入って休もう、腕が痺れてるよね?」


「い、いいわ。のぼせてしまいそう」

「約束、覚えてるよね?」

「あ、あがるわ」


「アイシア、まだ温泉に浸かっていないよね?」

「あ、あがるから」


 私は逃げた。

 脱衣所に繋がる低い位置にある丸いドアノブに手をかけた。

 前かがみになりながら必死で扉を開けようとした。


 ツル!

 ツルツルツル!


 ドアノブが滑る、ただでさえ腕から先が痺れているのにドアノブが滑ってドアが開かない。


「ローションを塗っておいたから、約束、覚えてるよね? 何でもしていいって」

「ま、待って、私を誘導したわね? マグナムは頭がいいから!」


 マグナムは私の心理を操っていた!

 私を焦らせて大人になったら何でもすると言わせた。

 あんなに立派なスティングリボルバーを隠し持っていた事を知らずに私は罠にハマっていた。


「ひ!」


 マグナムの左手が私の腰をガシッと掴んだ。

 振り返るとマグナムの右手がスティングリボルバーの角度を合わせて私を狙う。


「ま、待って」

「はあ、はあ、ダーメ、約束!」


 その日、私は女になった。





 あとがき

 小説の開始の1行目を見て頂ければ一目瞭然ですがスティングリボルバーを発動させて右手で股間を押さえていたマグナム。

 そしてスティングリボルバーに興味津々なアイシアが武装を触りまくるだけのお話ではあります。


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