第15話

 アイシアの作った家に住めるようになるとアイシアと2人で引っ越しをした。

 ファニーはまだここに住まないけど将来はファニーもここに住む事になる。


 家は王都のタワーのように丸い石作りの塔で少しずつ階を増やしていく予定らしい。

 王のタワーに対抗している。

 サイズ感は小さくなるけど十分に人が住める広さだ。

 今は1階の一角だけが完成しているけど十分すぎるほど広い、そして温泉がある。


「いいね! 住みやすそうな家だよ」

「まだ全然完成してないのよ」

「十分住めるよ」

「住めることは住めるわねそろそろ休憩にしましょう、手が痺れて動かなくなって来たわ」


「アイシア、手が震えてるよ」

「そうね、明日も筋肉痛だわ」


 アイシアは無理をする所がある。

 でも、何かを作っている時は楽しそうでもある。

 いつも胸やお尻が無防備でよく見てしまう。


 何度も吸い寄せられそうになって我慢したか分からない。

 でももう、我慢の限界が来ている。


 僕はアイシアを狙っている。


「温泉でゆっくりしよう」

「そうね、さっぱりしましょう」


 温泉作戦、成功。

 2人だけで温泉はあまりなかった。

 大体子供が洗われる為に待っていたりするのだ。


 でも今は2人だけ。

 新築の屋根の下で2人だけだ。

 アイシアとの温泉が最高過ぎる。

 

 アイシアは脱衣所でためらいなく服を脱いでいく。


「無理しないで、僕が脱がせようか?」

「なあに? 服くらい脱げるわ」

「でも、アイシアは頑張ってるから腕から先が疲れてるんでしょ?」

「大丈夫よ。ほら」


 アイシアが全部の服を脱いだ。

 アイシアの体がきれいすぎる。


「先に入って自分の体を洗うわ。たまにはマグナムも洗ってあげてもいいわよ?」

「お願いします!」

「ふふ、さっきまで私が疲れているとか言ってたのに洗って欲しいのね」


「その通りです!」

「先に自分の体を洗ってからね、5分待って」


 服を脱ぎ温泉の扉を見ると丸いドアノブがある。

 ドアの位置が異様に低い。

 小さい子がドアを開けられるように考えてるんだな。


 僕は閃いた。

 アイシアと接していて分かった事が3つある。


 1つ目はアイシアは僕に対して自分の方がお姉さんでいようとする。

 僕が15才だと納得してからもそれは変わらない。

 

 そして2つ目がアイシアは焦ると視野が狭くなる、人間誰でも焦るとそうなる。

 でも元々アイシアは見ている世界の解像度が高すぎる。

 錬金術師としての経験がそうさせているんだと思う。

 錬金作業に集中しているアイシアはとても無防備だ。

 そして焦ると更に視野が狭くなる。


 3つ目、アイシアは真面目だ。

 良い事ではあるけど真面目さは時としてマイナスに働く。


 この3つを使ってアイシアと今日こそはアイシアと……


 ローションを持って戻ってくる。

 ドアを開けて温泉ルームに入る。


「ねえ、入り口のドアノブが凄く低いよね?」

「マグナムやもっと小さい子供も温泉に入るかもしれないでしょ? ドアノブの位置が高いと子供が開けられなくなるのよ」

「そっか、色々考えてるんだね」


 アイシアが目をつぶり、髪を洗いながら言った。

 僕はドアに細工をした。


「マグナム、ドアで遊んでないでこっちに来て、後3分くらいしたら洗ってあげるから」


 そう言いながら今度は顔を洗い始めた。

 僕は洗ってもらう用意万全でアイシアの前に座って待機した。


「このローションで体で洗って欲しい」

「……もお、あんまり兵士の言う事は聞いちゃ駄目よ。悪い大人になっちゃうわ」


「えええ! 体を洗うのもローションで体で体を洗うのも一緒だよね!」

「大人になってから考えて」


 僕はその言葉を聞いて頭をフル回転させた。

 


 パズルのピースが噛み合っていく。

 未来の道が見えてきた。


「そんな! 僕は一生成長しないかもしれないのに」

「じゃあ無理ね、ほら、洗うわよ。でも筋肉痛で腕が疲れているわ。軽く洗って済ませるわね」


 そう言ってアイシアが僕の背中を洗う。


「ねえ」

「なに?」

「もし僕が大人なら大人の洗い方をしてくれる?」

「いいわよ、大人になったらね」


 そう言って僕の頭を撫でた。

 

「大人になったら何でもしてくれるの?」

「大人になってからね」

「約束だよ」


「はいはい、分かったわよ」

「絶対だからね」

「分かったわ、約束する」

「僕が大人ならアイシアは何でもしてくれる、約束だね」

「分かったから、もう、しつこいわよ」


 僕は腕や頭を洗ってもらいアイシアと向き合った。

 アイシアの目が僕の股間を捉えて動きが止まった。


「……大人」


 アイシアは目を見開きながら言った。


「え? 今なんて? 僕の事を大人って言ったよね? 確かに言った!」


 アイシアの驚愕の表情が消えない。


 僕の股間が更に膨れ上がる。

 アイシアは今まで僕の股間を見ていない。

 つい声に出してしまったのだろう。


 僕が股間は大人だからと言おうとしたけどその前にアイシアが僕を大人だと言った。

 このまま作戦を実行しよう。

 アイシアを焦ったまま冷静にさせてはいけない。


 アイシアが僕の股間から目を離さない。

 そしてアイシアが言った。


「スティング、リボルバー」




 あとがき

 ゆるい描写を多めにしすぎてお色気展開が遅すぎたと反省しています。

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