第10話

 ウォードの指揮する部隊について行き、アイシアも一緒についてきた。

 今回はガトリングだけでなくパワードスーツのスキルも使っている。

 ドラゴン3体にガトリングを向ける


 ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!


「グギャアアアアアアアアアアアアアア!」


 ティラノサウルスの見た目をしたドラゴンを倒すとアイスザックが拍手をした。

 恐竜っぽい見た目をしていれば基本ドラゴンなのだ。


「凄いっすね。こんなに強いなら、王が王子を追い出すのも分かるっす」


 他の兵士も僕を褒める。


「王子がいれば安心です」

「私達は楽でいいですよね」

「でも、ドラゴン3体をこれから運ぶんだぜ、ここからだろ」

「死ぬ危険があるよりはいいさ」


 ウォードが叫ぶ。


「素早く血抜きをしてブロックごとに解体しろ! 荷車に積んですぐに運べ!」


 アイシアが僕のパワードスーツをじっくりと見る。


「それがパワードスーツのスキル、中々変わった鎧ね」

「デザインは、そうかもね」


 鎧というよりロボットの装甲に近い見た目だ。

 スキルを使ってパワードスーツを纏う事で防御アップと身体能力アップ効果がある。

 そのおかげでガトリングの命中精度は更に安定した。

 

 そして僕のスキルは基本『銃』だ。

 このパワードスーツも右太ももに小さいハンドガンが付いていてトリガーを引くことで別の効果が発動する。


「ゴーレムみたい、ゴーレム作りの参考になるかもしれないわね」


 アイシアが僕の腕や足をペタペタと触る。


「右太ももの銃は何?」

「それは銃というかトリガーに近いかな」

「触ってもいい?」

「いいけど、僕がトリガーを引かないと発動しないよ」

「じゃあ安心ね」


 アイシアの距離が近い、子供の体で良かったけど、パワードスーツが壁のようにアイシアのぬくもりを防いでしまう。

 

「一瞬でパワードスーツを着る事が出来るの?」

「うん、一瞬で装着できるよ」


 スキルは使う人の深層心理に影響されると言われている。

 僕は巨大なロボットに憧れていたからガトリングとパワードスーツのスキル、そしてスティングリボルバーを覚えたんだと思う。


「もう1つ、スティングリボルバーもあるんでしょ? 使わないの?」

「ガトリングより衝撃が強いから今の体でもっとパワードスーツに慣れてからじゃないと、肩が外れちゃうからね」


「見るだけでもいいから見たいなあ」

「そっかあ、うん、ちょっと離れてて」


 アイシアが離れると叫んだ。


「スティングリボルバー!」


 右腕にガトリングと対になる様な長い筒が発生した。

 ガトリングと同じように右腕の横にがっちり固定された筒で先端からは大きな杭が出ている。

 筒の途中が3連のリボルバーになっている。


「ここはリボルバー?」

「うん、スライドさせれば弾丸が3つ、ほら」


 リボルバーをスライドさせた。


「良く出来ているのね。弾丸で杭を撃ちだすの?」

「そう、でも刺してから発射するから接近戦用だよ」


「杭を突き刺してからこんなに大きな弾丸を撃つ……危ないわね」

「うん、もうちょっとパワードスーツのサイズをちゃんと合わせて慣れてからじゃないと危ないかもね」


 スティングリボルバーは僕が小さくなる前から未完成だった。

 小さな体になって更に練習が必要だと思う。


「かっこいいわね(可愛いわね)」


 アイシアがニマニマと笑って僕の頭を撫でた。

 その目はヒーローごっこをやっている子供を見る目だ。

 でも嫌な気はしない。


 美人のアイシアが僕の頭を撫でる。

 いい匂いがするし無防備に体を寄せてくる。


「アイシア、マグナム、手伝ってくれ」

「あ、ごめんなさい」

「すぐに引っ張るよ」

「ん? 引っ張るってこれをか? マグナムの何倍もでかいぜ?」


 スティングリボルバーとガトリングを消してドラゴンの尻尾を両手で掴んだ。


「お、おいおい、無理すんな」

「やってみたいんだ」


 実際に動いてパワードスーツのサイズ調整をしたい、それにアイシアにスティングリボルバーを発射する所を見せたくなった。

 練習とフィッティングが必要だ。


「うああああああああああああああ!」


 ずるずるずるずる!


「まじかよ、動かしやがったぜ、だが無理すんな!」


 走って引っ張っても足が滑る、でも勢いをつけるとだんだんと速度が上がってくる。


 バキベキベキボキ!

 木の枝をおりながらドラゴンを引きずって速度をつける、そして森を抜けて丘の上にある街まで走る。

 心配していたみんなだったけど途中から応援の声に変わる。


「村長! ドラゴン持って来たよ!」

「お、おふ、とてもパワフルな運び方ですね。そ、それよりもユニコーン王国からの使者が来ています」


 そう言って村長が向こうを指差した。


 ユニコーンに乗ったきれいな女性が何人も僕達を見つめる。

 ユニコーン王国の精鋭部隊。

 ユニコーン騎士団だ。



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