第2話
それは隣村の意地悪爺さんでな
「あの爺さんの小便が金になるなら
ワシだって出来るわい」
それで婆様の糊を痒くもない金玉につけたらな
金玉と尻の穴がぴったんことくっついてしまったと
婆様に剝がしてもらおうにも
金玉が尻にきっちり栓してな
糞をしたくとも
どうやっても糞の出来ないことになったんだと
フン詰まりで怒った爺様はな
仕返しすべえと隣村までわざわざ行ってな
爺さんをかどわかしたと
えっちらおっちら山を越えたところで
爺さん、ようやく休んだんだと
婆様から引き離された爺さんは悲しくてな
大判小判をやっても喜ばない意地悪爺様にも困って
「儂もフン詰まりになったらいいのか」と言ったらな
そこでようやく意地悪爺さんが喜んだのなんのって
優しい爺さんは婆さんの糊を金玉と尻につけたんだと
そしたらな
腹に空気がぽんぽんと一杯溜まって来たんだと
ほれ見ろと手を叩いて喜ぶ意地悪爺さんだったがな
もう一方の爺さんの腹が狸のように膨らんだところでまず
小さな屁がぷーっと出てな
そこから屁の音が大きくなってきたなと思ったら
何と爺様の尻が木の上くらいまで
ぶーっと持ち上がったんだと
そこからはもう止まらなくてな
あっけにとられた意地悪爺さんを尻目にな
止まらない屁がぐんぐんと
山から山へ爺さんを飛ばしていったんだと
しゅるしゅると腹がしぼんでいった爺さんは気がつくと
婆さんの待ってる家の前に立っておったんだと
めでたしめでたし
ひどい民話その1 朝野五次 @Feb2024
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます