ひどい民話その1
朝野五次
第1話
おめえまあだ眠れねか
よしよしじゃあ婆ちゃんの話、すべか
むかしむかしのことだとさ
あるところに爺さんと婆さんは
貧しいながらも仲よう住んでおったと
この家の婆さんが作る糊の評判が大層良くってな
爺さんはこの糊を町に売りに行っておったと
そんなある日のこと
何でもよくくっつけるてすぐに売れ切れてしまう糊が
どういうことか、売れ残ってしまったと
それじゃあ隣町まで行くべえかと爺さん
糊を背負子に入れて
山越えて、谷越えて行ったんだ
そしたらな
爺さん、罠にかかった狸を見つけたんだと
「爺さん爺さん、助けて下さい」
見ればまだ子狸でな
可哀そうに思った爺さんはえっちらおっちら罠を開けて
狸の前足を放してやったと
だくだく血の出てるところへ糊をつけてやると
傷はすんぐ良くなっでな
喜んだ狸は人みでえにぺこぺこお辞儀しながら
「この恩は忘れません」
そう言いながら山へ帰って行ったと
見ればもうとっぷり日も暮れてな
爺さん、とっとと家さ帰ったんだと
あったかい家の中では婆さんが汁を作って待っておったと
「婆様、すまん
今日は全部は売れんかった」
「そんな日もあるでしょう」
そんなやり取りをしてから飯を食べてしまってな
さて床に入ったら
爺さんの金玉が何だかむずむずしてきたんだと
狸の傷に効くくらいなら
痒いのにも効くべえと
爺さん、余った糊を金玉になすりつけたと
そしたらな
金玉とちんちんがくっついたと思ったら
ちんちんがぐんぐん大きくなってきたんだと
布団が持ち上がってたとこからな
もう天井まで届くかというくれえだ
でかいもでかい天狗さまよりでかいんだ
そこからもまだまだ大きくなってな
終いには、屋根もばりんと破ってしまったと
あれあれと驚く爺さんと婆さんだったがな
そこで爺さん、小便がしたくなった
そこで屋根の上で小便をすると
何と不思議なことに、そこから落ちて来た小便が
ちゃりんちゃりんと音を立てたんだと
外へ出てみた婆様、驚いたのなんのって
大判小判がざっくざく
地面を埋めるほどあったと
びっくりして家から出て来た村人たちにも
はいはいと大判小判を分けてやったと
貧しい村はもう大喜びでな
珍棒様と爺さんを呼ぶのも居ったがな
そうなるとどこからか爺さんの評判を聞きつけたのが居ったと
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