第3話 オーク戦
押し寄せるオークの群れ。
雑魚が何匹いようがこちとらなんの脅威でもないが、村の人は違うみたいだ。
響き渡る悲鳴。
そりゃそうだ。この村には若い男がいない。戦えない人しか残っていないのだから、オークなんて魔物がやって来たらパニックになる。
「みんな! こっちよ!!」
ステラが村人を村長の家の方へと誘導してくれた。
慌てて村人がこちらに向かって走って来る。
「あっ!」
逃げている中で小さな男の子が転んでしまった。
「あ、あ……」
泣くことはなかったが、恐怖で怯えてしまった男の子は動けなくなってしまった。
「ブヒィ……!」
それを一匹のオークが棍棒を持って襲いかかる。
そいつの顔面目掛けて
「ブッ!」
断末魔の叫びも上げる暇もなく、男の子を襲おうとしたオークの体からは血の噴水が上がりその場で倒れた。
「大丈夫か?」
「あ、あ……」
小さな男の子に対して残酷過ぎる光景だったか。
「ラグナ様。この子はわたしが」
「頼む」
すかさず駆け寄ってくれたステラが男の子を抱き抱えて村長の家の方へ避難する。
「さて……」
視線をオークの群れへと向ける。
大多数は棍棒を持っているが、槍や斧を持っている奴が少数見えた。
「オイ、ニンゲン」
耳に付けた自動翻訳機能付通信機がオークの言葉を翻訳した。
まさか喋れる奴がいるとはな。
喋っているのは、斧を持ったオークだ。
「ワレラニハムカウ。まおーサマニハムカウ。オナジ」
「そうかい。お前は魔王様ってのと繋がりがあるのか?」
「まおーサマニハムカウ。シニアタイスル」
言葉を放つことはできるが、会話ができる知能までは持ち合わせていないか。結局、ブタだもんな。
「サカラウニンゲンミナゴロシ」
ブヒィィィ!!
鳴き声が合図となり、オークの群れが一斉に襲いかかって来る。
「数の暴力で来るってのはブタのくせして良い線いってるぞ。ま、俺には通用しねぇがな」
そいつにも
「おっ。やるじゃん」
「ブヒィ!」
槍を持ったオークの間合いに入ったみたいだ。槍による突きでの攻撃を仕掛けてくる。
「遅いな」
ブタの攻撃が遅すぎて欠伸が出ちまう。簡単に避けて、相手の槍を掴んでやる。
「よっと」
くるりと槍を回してやると、簡単に地面に尻餅をついた。
そこへ
持っていた槍を投げると数匹が串刺しになる。そこへ
「あと、もうちょいか」
かなり数を減らすことができたな。
「ブヒアァァ!」
やけになったか、一匹のオークが捨て身の覚悟で突進してくる。
それを
「スキアリ!」
オークの死体を盾に現れたのはさっきの喋るオークだ。
そいつは死体のオークごとこちらに斧を振り下ろしてくる。
「仲間を簡単に斬るとか、下等生物めっ」
しかし不意を突かれたのは事実。避けることができない。
ガードできるものが
スパッと簡単に
「これだから旧型は!」
ま、そもそも刃物に
壊れた
どうする。武器がなくなった。最近は
「ラグナ様。お怪我はありませんか?」
「ステラ……」
そういやこの子、剣を持ってたな。
「借りるぞ」
「ひゃっ」
腰辺りにあった剣を拝借する。ちょっぴりお尻に触れちゃったけど、ご愛嬌ってことで許して欲しい。
「ふぅ」
剣を使うなんて久しぶりだ。上手く使いこなせるかどうか。
「援護します」
ステラがこちらに手を伸ばしてなにかぶつぶつと呟く。
すると、手の先から魔法陣のようなものが浮かび上がってくる。
『ファイアボール!』
ステラの手から放たれた火の玉がオーク目掛けて飛んで行く。
「コザカシイ!」
オークは斧でファイアボールを斬りつけた。
相手がファイアボールを斬っている隙に、一気に間合いを詰める。
「はっ!」
慣れない手つきで剣を振るう。
「ナッ、ハヤッ──!」
俺の斬撃が確実に相手の腹を捉えた。
「ブヒィヤァ!」
斧オークはこちらに反撃する間もなく上半身と下半身に真っ二つになる。
「久しぶりの剣だが、うまいこといったな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます