ソウル・オブ・ジ・オリジン編 第7話「アビス・オブ・ディメンション」
~~【アビス・オブ・ディメンション】~~
アビスゲートを通り抜けると、そこは紫のマナの空気が広がる広大な空間。空間の中を混じり合うことのないコーヒーとミルクのような禍々しいマナがお互いを吸収し続けている。
「ここが・・・アビス・オブ・ディメンション・・・。」
「やっぱりあったぞ!アビスコア!」
目線の奥には黒と白のオーラを纏っている巨大な宝石が浮いている。だけどそのコアの前には二体の石像が剣を交わせ、まるでアビスコアに近づけないように守り続けているような、そんな感じがする。
「アビスに近づくモノよ、君たちの魂はアビスによく似ている。」
どこからか声が聞こえてくると目の前の石像の表皮の石が崩れていき、二体の魔物が現れた。
「君たちは・・・なるほど・・・・・・懐かしい顔ぶれだ、友よ。まさかまた君たちと出会うことになるとはな。」
「友・・・?僕は君たちなんて知らないよ。君たちは一体何者なんだ?」
「我らはレイデンスセントリーという名前があるが、この顔を見てもまだそんなことが言えるかな?」
2体の魔物の兜の一部が消えて顔の一部が露になると、よく見知ったレインとリセル、マルタの顔が混ざり合うように変化し続けている。
「リ、リヴァン・・・あいつの顔が、お前らと・・・!」
仲間たちの表情が恐怖で強張り続けている。それもそのはずだ、見知った仲間たちの顔が違和感を与えないように混じり合い続けている光景を見ているからだ。
「我らの崇拝する創造主における御身の贄として、我らは存在を維持し続けている。だが我ら自体の存在はアビスを維持する為だけではない、我らを犠牲にして君たちの力を確かめる為だ。」
「あ、あなた達の存在は私達と何か関係があるのでしょうか・・・?」
「我らの存在自体は蜃気楼のような朧げの記憶そのものだ。君たちで言うこの世界の過去を渡り歩き、未来を見てきたモノが我らとも言えるだろう。目的はどうであれ、君たちは全てを淘汰し続けなければならない。」
「あんたらが過去や未来を見てきたのなら、今を生きるあたしたちと何が関係があるんだい?」
「カハハハハハハ!分かっているだろうオリジンよ、君たちが紋章に選ばれし夢の神族となる存在ということを・・・。」
何を言っているかが僕たちは理解ができなかった。だけど何かを忘れているような、思い出したくても思い出せないとても大事なことが記憶から欠けているような、そんな感覚が僕らの思考を染め続けている。
「さぁ!この世界の贄として!生きる意味を知るための最初の一歩を踏み出すため!剣を抜け!」
僕らはすぐに理解した。目の前の敵が今まで出会った中で一番異質な存在というのを。まるで仲間同士で争い続けるような、この戦いが無意味であってほしいと思考が常に願い続けている。
「「トランスヒクシオン!」」
レイデンス2体の剣が交差する瞬間、2つの剣からオーラが溢れ変幻自在に伸び縮みをしている。その一撃は早く重いが避けられないことはない!身体を後ろに倒し剣筋を確かめながらバク転をして回避・・・!
「っぶねっ!?」
「これを交わすか・・・ならばこれはどうだ?」「「ターンスライス!」」
伸び縮みする剣を構えレイデンス2体が回転を始めると剣先から音が発する瞬間に斬撃が飛び交う。僕の剣で斬撃を受け流すことは可能だけど、その無慈悲な攻撃は仲間のほうにも飛んでいっている。
「レイン!皆を守れるか!?」
「やってはいるが!この無数の斬撃すべてをさばけそうにはねえぞ!」
どうする・・・?攻撃は無数に生まれその攻撃を捌き続けるには手数が足りない・・・。どうする・・・?混乱していく自分の頭に目の前を打開できる策はあるのか・・・?
「リヴァン・・・すまん。ちょっと無茶するぜ!
レインの身体から赤い炎が溢れ出し、その炎が右半身に纏わりついていっている。
「レイン!君も・・・!」
「あぁ、それに・・・俺だけでは無いみたいだな!」
「私は仲間たちを守ります!
マルタの右半身に薄緑のマナが纏わりついていっている。
「あたしだって、遅れを取るわけにはいかないからね!
リセルの右半身に自分より一回り大きい黒い影のようなオーラが纏わりついていってる。
「素晴らしい・・・!素晴らしいぞオリジンよ!やっと我も本気で挑めるぞ!クラウが良い!グリムドーン!」
レイデンスの背後に黒い太陽のようなものが現れると、そこから無数の黒い炎を纏う槍が僕らの方へ飛んできている。
「その程度の炎で、俺を焼き尽くせるかぁ!
レインの拳からあふれる炎がレイデンスのグリムドーン全てを消し去って、レイデンスを炎の中に包みこんだ。
「グゥゥッ・・・!」
レイデンスたちが一瞬ふらつくとそのスキをリセルが狙っていた。
「一瞬のスキを見せたね!
リセルの弓から空間の闇を吸収しながら飛んでくる矢が射出されて、その矢がレイデンスたちの周りを飛び交い斬撃を与え続けている。
「良い!良いぞオリジンたちよ!君たちの全戦力を使い続けろ!それでこそ我の存在意義を確かめることができる!避けきれると思うな!ディメンショングリムドーン!」
レイデンスの放った闇の珠がこの空間の闇を収縮していっている。まずいと思った瞬間にその闇が僕らの体中を突き刺した。武神に守られた右半身はかろうじて動くが、左半身がズタボロになった。
「ガアァァァッッッ!くそっ・・・!身体がァッ!?」
「ぐぅ・・・!ま、まだです!尊き光の癒やしの波動よ、聖なる祈りを聞き入れよ。光は空域に、闇は大地に溶け込みて、悪しき者はその
この空間の空に薄緑色の巨大な魔法陣が現れて、大量の光の柱が僕らとレイデンスたちを飲み込んだ。ズタズタに引き裂かれた僕らの左半身がみるみるうちに治っていくではないか・・・!痛みで麻痺していた触覚も元に戻っている・・・。これなら!
「な、なんだ?この光は!?足が動かん!」
レイデンスたちはマルタの魔法によって動けなくなっている!今だ!
「レイン!僕の腕を掴んでくれ!今なら殺れるはずだ!」
「オーケー相棒!俺も準備完了だぜ!」
レインが僕の腕を掴むと同時に足に雷を纏わせ、雷の如く一瞬でレイデンスに近づき、二人の力を合わせた全力の攻撃!
「「
「「見事だ!」」
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