第16話 『ちんもくステーション』 その1


 『きらめきステーション』から、ぼくとキオスクのおばさんと、あの不可思議なおじさんは出立しました。


 『きらめきステーション』は、もくもくと煙を吐いていて、その中を、まさに炙られるような感じで、汽車は進みました。


 『これは、薫製にされてるみたいだな。』


 おじさんはうめきました。


 『なんのために、あんなにするのでしょうねぇ。』


 キオスクのおばさんもいぶかりました。


 『地球では、あちこちが、こんな風になっているようです。』


 と、ぼく。


 『そうなのか。地球って、そんな、危ない場所か?』


 『地球、危ないです。戦争だけでなく、災害もあります。でも、戦争がなかったら、ずいぶん、ましになります。』


 『ああ。そうだな。地獄連合は、あきらめないだろうな。連中にとって、これは、使命なんだろう。』


 『使命ですか?』


 『ああ。地獄を成り立たせるための使命なんだ。』


 『堕ちてくる人がいなくなるのが、使命ではないですか?』


 と、キオスクのおばさんが問いかけた。


 『堕ちてくるだけでは足りないから、無理やり堕とすのだあ。』


 『あの、ここの地獄と、地球の地獄は同じですか?』


 と、ぼくは尋ねました。


 『そいつは、分からないなあ。地獄にも種類があるみたいなんだ。この夢世界の地獄は、夢世界方面を管轄しているんだ。ただし、ヘレナさんの地獄は、多方面から募集しているらしい。』


 『はあ。分からないような、理解できないような。』


 『ははははははぁ。まあ、そうだよな。』


 『で、これは、この後、どこに行くのでしょうか?』


 『さあて。分からないなあ。』


 『わたしには、‘’ちんもくステーション‘’に転勤せよ、というメールが来ました。』


 『なに? ちんもくステーション? あそこは、やっかいですな。』


 『たしかに、行ったことはありませんが、噂は聴きます。』


 『なにが、厄介なんですか?』


 『つまり、お客さまが、やっかいなのですよ。』


 『客はらとか?』


 『いえ、そういうのではないようです。まあ、耐えるしかありません。はい。』


 キオスクのおばさんは、黙ってしまった。



          🚂💨..........


 

 

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