第13話 『きらめきステーション』 その6


 画面が真っ白になり、それから、なにもなくなりました。


 なにも映らなくなった、というべきですね。


 『あーあ。やっちまたあ。』


 声の主は、パンダさんみたいでした。


 『地獄連合って、なんの得があるんですか?』


 ぼくは尋ねました。


 すると、例のおじさんが回答してくれたのです。


 『消滅した空間は、地獄空間に吸収されて、エネルギーになるんだ。また、それで消えた人間たちは、破壊した地獄に引き取られて永遠の労働を強いられる。労働力になるわけさ。地獄の労働者はなにも食べさせなくても、どうにもならない。賃金も食費も要らない労働力なんだ。しかも、反乱は例外以外はあり得ないだろ。普通、経営者は、労働者に賃金を払わなくてはならないわけだからな。悪いことはなにもないんだ。』


 『例外ってなんですか?』


 『火星の女王さまの私立地獄は、地獄連合に加盟していない。しかも、亡者たちの人権を重視していて、責め苦は週休2日、1日7時間まで。病気休暇もあるらしい。もちろん、昼休みあり。食事も支給されて、内容も悪くない。ちゃんと寮があるし、個室が提供され、カウンセラーもいる。無限寮と呼ばれる。その地獄は、一定の範囲でストライキや抗議活動までもが認められているんだ。』


 『それ、地獄ですか?』


 『そうさ。豪華な遊園地もあるらしいが、責め苦にも使われるかなり恐ろしいものらしい。もうひとつ、似たようなのがあるらしいが、そこは、あまり良く分からない。火星の女王さまの知り合いが経営しているらしいがな。』


 『なんで、そこだけは分かるんですか?』


 『積極的な広報活動をしているんだ。』


 『はあ、…………』


 『まあ、そいつは置いといて、だから、夢空間を潰せば利益が上がるわけさ。ただし。』


 『ただし?』


 『どこの世界にも反対する存在があるものだろ。夢空間を破壊するのを敵視している存在がある。』


 『それは、なんですか?』


 『天国さ。』



      😇












 

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