第5話 『おべんとう』


 『ちらちらちらり〰️〰️🎵』


 と、オルゴールが鳴りました。


 『みなさま、今日は、特別周遊列車、トータルドリーム号、ご乗車ありがとございます。まもなく、発車いたします。ご着席のうえ、ベルトをおしめきださい。巡航速度にたっしましたら、豪華特製おべんとを、お配りしますゆえ、まずは、ベルトをおしめきださい。まもなく、発車いたしまし。ベルトをおしめきださい。』


 ぼくたちは、ベルトをきちんと締めました。


 汽車で、ベルトを締めたなんて、前代未聞でしょう?


 それにしても、やたらに、広い座席です。


 窓はさらに広く、なんでも、よく見えます。窓は、天井から、床まで続いていました。


 向かいには、あの探偵さんが座りました。


 とことん、お付き合いみたいです。


 『なかなか、はでな発車ですからなあ。はははははは。』


 探偵さんが、うんうん、と、言います。


 『あなたは、乗ったこと、ありますのですか?』


 『はい。2回目ね。前は、ちょっと気を抜いた隙に、目的地の直前で、墜落しましたよ。ははははははははは。』


 『げ? ご無事で?』


 『だから、再挑戦れすよ。』


 『はあ………墜落って?』


 と言おうとしたときに、列車がびゅわん、と、飛び上がりました。


 『あわ、わわわわわあ。』


 『そらきたあ!』


 そうして、突然に、ものすごい速度で、急発進したのです。


 それも、飛行機の倍くらいの角度でですからね。


 『あちゃー😅』


 ベルトをしてなかったらしき人がひとり、列車の中を飛んで行きました。


 そうして、その方は、そのまま、車輌から飛び出してしまいました。汽車から、遥かな彼方におっこちてゆくのが見えたのです。


 『早くも、脱落ですなあ。』


 探偵さんが、あっさりと叫びました。


      🛌💨💨💨







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