公園での出会い
1時間ほどのカウンセリングが終わり、輝は病院を後にした。帰り道、偶然にも病院の近くで宇都美らしき人物に出会う。華奢な体づきは、宇都美の姿と一致していた。その人は何かの薬を飲もうとしているところだった。
「宇都美?こんなところで何してるの?」
輝はその宇都美らしき人物に声をかけた。しかし、返事がない。全身をよく見てみると宇都美ではないような気がしてきた。
「ごめん、人違いだった。今会いたい人を自然と探してたみたい。」
そういうとその少女は数刻の沈黙ののち走って逃げていってしまった。輝はその子には新手のナンパだと思われたに違いないと反省した。
カウンセラーが事故のことを知ることで症状が良くなるかもしれないと言っていたことを思い出し、事故のあった公園によることにした。そこには今度こそ宇都美が、ブランコに座っていた。しかし、その少女は一向に動こうとしない。いつもとは違い元気がない気がした。
「宇都美、どうしたの?元気なさそうだけど。」
「あ…。えっと..、ちょっと風邪っぽくてね。それよりも輝は今日定期通院の日だよね、どうだった?」
変な間が気になったが、風邪で頭が働いていないことが伝わってきた。輝は宇都美に病院に行くことは伝えてあった。しかし肝心の事故の後遺症のことは伝えていないので、心配をかけないように嘘をついた。
「何も問題ないってさ!ただもうちょっと定期通院はいるっぽい。」
「そっか。あのさ…。やっぱいいや、ごめんね。」
輝は宇都美の体調が良くないと感じたのでもう帰るように言った。
「せっかく会えたからもっと話したいけど、風邪が悪化しちゃうからもう帰りなよ。」
宇都美は輝の提案に渋々了承し、帰っていった。輝は宇都美と別れてから1時間ほど公園を探索したが、何も進展はなかった。
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