第11話 親フラ
部屋に戻ると二人は楽しそうに話をしていた。
あんな雰囲気からここまで、仲良くなれるんだなと思った。
「おかえりー」
「おかえり」
二人は扉の空いた音に反応したのかすぐに僕の方を向いてきた。
「ただいまー」
と返事をし、床に座る。ちなみに二人は俺のベットに図々しく座っている。この部屋の主の威厳はどこへやらだ。
「それで?どんな話をしてたんだ?詳しく聞かせてくれ」
「んー、詳しくは言えないかなー。ねぇ、咲?」
「そっ、、そうね、、秘密にしとくわ」
「えぇ、、教えてくれねぇのかよぉ、、」
僕は蚊帳の外のようだ。
「まぁ、いいけどさ?仲良くはなれたんだよな?」
「そうそう!さっきも言ってたけど親友みたいなもんだよ!」
そうやってまた二人で笑い合う。
仲良くなったのは嬉しいけれど、寂しい気もするなぁ、、。
「なんでそんな寂しそうな顔してるの?隼人」
「どうかしたか?隼人」
そうやって心配そうに見つめてくる二人。そんな様をみていると寂しさなんて消えてしまった。
「いや、なんでもないよ」
そんな返事を僕は返した。
「ならいいのだけど、、」
とまだ心配そうな顔をする咲と
それとは対照的にニヤニヤと笑う柚葉。
「なんだよ」
「いやぁ?面白いなーと思って?」
「え?どこが?」
「あれでしょ?私が咲と仲良くなってることに嫉妬してるんでしょ?隼人」
「はぁぁっ!?してねぇし!!」
「ちょっ!!柚葉!!」
「二人ともそんな怒らないのっ。冗談じゃん?」
その言葉で俺と咲は、冷静さを取り戻した。
「そうよね?冗談だよね?、、」
「へんなこと言うんじゃねぇよ!ほんとに、、」
あはは。
と乾いたように笑う二人。
そんな状況を見た柚葉は笑いの限界のようで、我慢できなくなったのか笑いだした。
「あははっ、こいつらおもしれーなぁ、、」
「「からかうな!!」」
そんな話をしながらみんな笑顔で話を続ける。
しばらく経ったとき、咲がなにかに気づき声をあげる。
「え!?もう五時過ぎてる!!」
「あ、ほんとうだ」
「夏が近づいてきて日が落ちるのが遅いもんなぁ、、窓の外見ても時間感覚が狂う」
「もう6月か、、引き込もってゲームばっかしてるからわかんないな、、」
6月に柚葉と出会った。改めて考えると、彼女と出会いまだ一ヶ月も経っていないのだ。
そのわりに僕の生活にめちゃくちゃ馴染んでるんだよな、、この神様。
「私そろそろ帰るね」
「おう!気を付けてなー」
咲にも馴染んだようだ。
「隼人もまた学校で」
「あ、玄関まで送るよ」
「えっ?あっ、、ありがとう」
そうやって部屋を出る。
玄関で咲を見送ったあと後ろから視線を感じた。
「ねぇ、隼人?」
声のする方に振り替えると母がいた。
「なに?母さん」
「女の子たくさん連れ込んでるの?」
「そんなわけないでしょ?」
「咲ちゃんに手とか出してないよね?」
「出すわけないでしょ、、」
「言葉につまったわね?そうなのね、、つまり、、やっちゃったのね、、」
「そりゃぁもう激しかったよ、、私がいるのに目の前であんな、、」
と母とは別の声が聞こえてくる。
「え?柚葉?」
「あー!もうっ!なんかいい感じにつめれてたのに!!ゆずっちが邪魔するからっ!!」
「雪、、とても下手くそだったぞ?」
「えっ?」
「母さんに演技は向いてないよ、、きっと」
「ええっ!?」
二人は僕らの言葉を聞いて怒ったのか、むすっとした顔をしている。
「二人してなに言うのよ!!せっかく今日はハンバーグでも作ろうと思ったのに、、、残念ね」
「「すみませんでした」」
僕と柚葉は深く頭を下げた。
食は僕らの命なのだ。
夕食の時間なのだが、今日は柚葉も食卓を囲むことになった
。
「結局隼人にバレちゃったのね」
「そうだなー。まぁいずれバラすつもりだったんだしいいでしょ」
柚葉と母さんが話しているこの状況に違和感を覚えつつも箸をすすめていた。
「パパにも電話したけれど爆笑してたよ?ゲームではしゃいでたところ見られたのが初対面だって言ったら」
「わっ!!なんてこといってんの!!雪っ!!」
「仕方ないでしょう?ほんとのことなんだしー」
にやける母。
父が出張中である我が家に久しぶりに賑やかさが戻った気がして思わず笑みがこぼれた。
「あー!!笑ったな!隼人!!」
「面白かったもんで、、つい」
「あーー!私の黒歴史だぁぁ」
「他にもあるでしょー?ほらほら、あの冬の日の、、」
「それはだめぇぇ!!」
ほんとに賑やかだな、、。
そんなこんなでみんなでわいわいと話しながら今日の夕飯を過ごすのだった。
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