第12話 変化
「行ってきます」
今日も今日とて僕は学校に向かう。
何気ない日常が今日も始まる。
だけど、少し違うこともあって、、
「おう!行ってらっしゃい!隼人!!」
柚葉が玄関まで送り出してくれるようになったことだ。
「うん、またね」
そう言って僕は家を出る。
いつもの通学路。
毎朝すれ違う犬の散歩をしている老夫婦。
よくわからない格好でランニングしてるおじさん。
そして倒れている十村霞。
え?倒われて、、
「はやどぉぉ、、」
「うわぁぉぁぁ!!!!死体が喋ったぁぁ!!」
「、、、失礼なやつだ、、」
「お前が高度なツッコミをいれないってことは、、、相当元気がないんだな、、」
「俺は芸人かなんかなのか!?」
荒療治だが少し元気が出たようだ。
「で?なにがあったんだ?」
僕は事情を聞くことにした。
霞の話を簡単にまとめると、不良たちに絡まれた女の子をカッコよく助けたはいいもののその後ボコボコにされたそうだ。
「でもあんまり大きな怪我はしてないな」
「そうなんだ、、もう一人不良が来てそいつが俺が相手してやる!的なこと言って助けてくれたお陰だよ、、助かった、、」
「てことは、、その人は今一人で数人の相手を!?」
「確かにそうなるな、、けど相手強そうだったし、、お前が行っても勝ち目は、、って!いねぇぇ!!」
僕は走り出していた。
場所なんて知りもしないがここら辺で殴り合いができそうな場所を手当たり次第に探した。
案外俺の勘は鋭いらしく、二ヶ所目でそれらしき人影達を見つけることができた。
「いつもそうやって弱いものいじめしてんのか?」
「お前には関係ないだろぉ?染篠龍我ぁ」
そめしの、、あの人が霞を助けた人だな。
「不良の癖に正義気取りやがって、、一匹狼はかっこいいなぁ?」
「一人じゃないっ!!」
そう叫び、僕は物陰から飛び出した。
「お前っ!誰かは知らんがこれは俺とあいつらの問題だ!!危ねぇから無関係なやつは下がってろ!!」
「無関係ではないですっ!あなたに僕の友人を助けてもらったので!!」
「だからなんだってんだ!?」
「助けに来たんです!!」
「はぁ!?どう見てもひょろひょろな一般人だろ!」
「そう思っとけるのも今のうちですよ、、」
僕はそう言い放ち目の前のヤンキー集団に向け、戦闘態勢を取る。
「お前、、その構え、、なにか格闘技を?」
「最近勧められて少々、、」
「おおっ!」
「格ゲーを、、」
「ド素人じゃねぇか!!」
こいつ、、ツッコミのキレがいいな、、ボケるこっちも気分がいい。
「何ごちゃごちゃ言ってんだよ!!てめぇら!!」
「うっせぇ!!このイカれたやつを説得してんだよ!黙ってろ!」
大声で怒鳴るようにそう告げる龍我。
向こうの集団の一人が龍我の声量を越すように叫ぶ。
「てめぇらの事情なんて知らねぇよ!!なめんじゃねえ!!」
その叫びと共に3人が距離を詰めてきた。
数秒のことだった。
3人はうずくまり龍我がそれを見下しているという構図が出来上がっていた。
「化けモンがよぉ!!龍我!!」
「てめぇらみたいな人生送るくらいなら化けモンにでも虫にでもなった方が数倍マシだわ!!」
「けっ!言ってくれんじゃん、、ならこっちは数で勝負だ!!」
リーダーであろう男がそう告げると物陰からまた数人出てきた。
「何人いんだよ、、」
「この数を一人で相手するのはきついんじゃない?龍我くん」
僕は龍我に問いかける。
「確かにな、、、」
「恩返しさせてくれっ!龍我くん!!」
「はぁ、、わかったよどうせ逃げねぇだろ?あんた」
「おうっ!」
「じゃぁ、、、背中は任せた」
「わかった!」
そんな会話を龍我とした後、両者がジリジリと距離を詰め合い
「いくぞ」
「おうっ」
二人で駆け出す。
「てめぇらいくぞぉぉ!!」
「おぉぉぉ!!」
向こうもこっちへ向かう速度を上げた。
戦いが始まった。
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