第9話 休日に君と

ある日の休日。

僕の部屋では、幼馴染みと我が家の神様による睨み合いが起きていた。

とても居心地が悪いので、早く逃げたいところだ。

「ねぇ隼人。コンビニでジュース買ってきてくれない?」

「え?急にかよ、、」

「お釣りはあげるから」

と200円を渡してきた。

この額のつり銭じゃ格好もつかないだろ、、。

「はやとー、私は酒がほしー」

「買えねぇよ!?未成年だわ!」

とそんなことを言いつつもこの空間から逃げることの出来るチャンスなので、僕はジュースを買いに行くことにした。

早く帰りすぎても面倒になりそうだな。と考えた俺は少し遠めのコンビニへ向かうことにした。

コンビニに着くと自動ドアの前に見知った顔の人がいることに気づいた。

「先輩じゃないですか」

「あれま、隼人くんじゃないか」

秋晴先輩がそこにはいた。

「ここは君の家からは遠めのコンビニだと思うのだが、、」

「ちょっと色々ありまして、、、」

「いろいろか、、ふふっ」

「どうしたんですか?いきなり笑ったりして」

「いやぁ、まさか会えるなんて思わなくてね?休みの日も君に会えて嬉しいんだよ」

「なっ!」

この人は本当になんなんだ、、、。

歯の浮くような台詞ばかり言ってくるから勘違いしないように耐えるこっちの身にもなってほしいものだ、、。

「あれぇ~?照れてるのかなー?かわいいねぇ」

「うっさいっ!」

そんな言い合いをしばらくした後、気になったことを先輩に聞く。

「今日は何しにコンビニにきたんです?」

「気分転換、、かなー。最近悩みごと多いし、、、」

完璧そうに見える先輩にも悩みなんてあるんだな、、。

「隼人くんは何をしに来たのかな?」

「頼まれてジュースを買いに、、」

「パシられてる!?それ大丈夫!?」

「あっ!いや友達なので!」

「そ、、そうか?勘違いするような文でしゃべるんじゃないっ!まったく、、」

「すみません、、」

「私、、」

と呟きながら先輩は顔をぐいっと近づけてくる。

「なっ!なんですかっ!!」

「結構君に関しては過保護かも、、」

僕の頬に優しく触れ、そんなことをいってくる先輩。

「はっ、離れてくださいっ!」

「えー、、どうしようかな?」

そんな言い合いをしていると子連れのお母様方に微笑ましく見られていることに気づいたため、僕と先輩は顔を赤くして勢いよく離れた。

その後は沈黙が続いた。

その沈黙を破るように先輩は

「は、、入ろっか、、」

と提案してきたので、僕らはコンビニへ入店した。

先輩はオレンジジュース。僕は自分用に買ったアイスコーヒーと咲に頼まれた分の適当なジュースを手にして、店を出た

「隼人はコーヒー飲めるのか、、意外だな」

「先輩がオレンジジュースっていうのがもっと意外ですけどね」

「うっ、うるさいっ!幼い味覚なの気にしてるんだぞ!?」

「可愛くていいじゃないですか」

「かっ、、かわっ!?」

怒りつつも照れている先輩。

やり返されたらいつもこうなんだよなぁこの人。

「予定より長くなったんじゃないか?そのジュースを頼んだ友人はずっと待っていると思うのだが」

「たしかに、、」

「なら早く持っていってあげな。ごめんね、引き留めるような形になってしまって」

「いえ!楽しかったです!」

「ふふっ、そうかそうか。ならいいんだ。」

「ではまた学校で」

「うん、またね」

そういって笑顔で手を振る先輩。

美人だと手を振る仕草だけでも絵になるものだな、、とそんなことを思いつつ僕は帰路につくのだった。


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