第5話 始まり

「あ、もうこんな時間か」

俺は通学用のバックを手に持ち、玄関へ進む。

「んじゃ、いってくるわー」

「うん!いってらっしゃい!あ、このゴミついでに出しといて!」

「わかった」

「あとさっ!」

「ん?」

「その髪型似合ってるわよ!彼女5、6人はできるんじゃない!?」

「5、6人もできちゃだめだろ!?」

「あら、意外と誠実なのね。高校生なんだからもっとこう、、」

「いってきますっっ!」

母の言葉を遮り、強く扉を閉めた。

柚葉に切ってもらった髪は、両親共に大絶賛。

さすがに神様に切ってもらったとは言えず、腕のいい床屋を見つけたとか適当な嘘をついた。結果として、散髪代として手元に二千円が入ってしまったのだが、さすがにこのお金に手をつけるのはまずいなと感じるので、今度柚葉になにか買ってあげようと思った。

てか、あの人ご飯どうしてんだろ、、。

とそんなことを考えつつゴミを捨て、学校に向かっていると

「隼、、人?」

「そうだが、、どうした?咲」

「、、課金した?」

「してねぇぇよ!?髪切っただけだわ!」

なんとも失礼なやつだ。

「あんたってこんなに顔よかったのね、、、まぁ、たしかに昔は顔整ってる方でモテてたわね、、髪型終わってたから忘れてたわ、、。」

とっても失礼なやつだ。

「幼馴染みとして失格ね、、アイドルグループにでも駆り出しておくんだったわ、、そしたら今ごろ私も有名人の美少女幼馴染みとして私の名が轟いていたのに、、、、」

「轟かすのは悪名だろ?暴君!結川咲!!ってな」

「最近格闘技の動画にハマってるのよー、あんたで試していい?」

「すみませんでした」

謝ろう。そうすれば平和だ。

結川咲とは昔からの幼馴染みで、なんやかんやで今もこうして一緒の高校に通ったりしている。

「てかあんた彼女できた?」

「どうしてよ」

「髪切ったりとか今までしなかったじゃん」

「さすがに切ってはいたぞ!?まぁ、慣れ行きみたいなものだよ」

「慣れ行きねぇ、、」

「なんだよ」

「いや引っ掛かることが多くてね、、、」

「引っ掛かる?」

「まぁ、いいでしょ!気にしないで」

そんなことを言われたら気にしてしまうが、聞かないでおこう。

そんなこんなで学校についた僕は、その日とてつもない視線にさらされて過ごすのだった。

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