第4話 イメチェン

後日、学校から帰宅した僕は、柚葉の部屋を訪れていた。

「お、来たなっ!」

僕がドアノブに手を掛ける前にその扉は開き、柚葉が笑顔で迎えてくれた。

「流石ですね。やっぱりわかっちゃうものなんですね。」

「まぁ、探ろうと思えば探れるよ。てか、また敬語ついてるよ?」

「僕ってそんな人間なんですよ、、慣れるまで少しまっててください、、」

「わかった!」

なんとも心配な返事である。

「今日はどうして呼んだんです?」

「呼ばないと来てくれないの?お姉ちゃん泣いちゃう、、」

「えぇ、、」

「えぇ、、じゃねぇよ!!ちょっとはこの儚げな一輪の花に優しさという救いの手を差しのべてくれてもいいのではないかっ?」

「儚げなって、、、ご冗談を、、」

「なんか言ったか?」

「なんもないです、、」

圧がすごいな、、、。

「まぁ、今日の用事というのはな。お前がモテるために必要なことなのだよ。」

「必要なこと?」

「そそ!とりあえずこの椅子に座っておくれ」

「わかりました、、」

僕は少し疑いの目を向けつつ、その椅子に座った。

「ちょっと待ってておくれ~?取ってくるから」

「取ってくる?」

何をするつもりなんだ??

「じゃじゃーん!!これだよこれ!」

「え?それ、、」

「刀だよ?」

「刀ですね」

「刀だぜ!!」

「刀ですけども、、」

「よしっ、抜刀っっ!」

「うわぁぁぁ!!!なになになに!?」

柚葉は抜いた刀の刃先をこちらに向けてきた。

「てか動けねぇぇぇ!!」

「じっとしてろよ~。天国送りにはまだしたくないぞぉー」

「死ぬかもしれんことをやろうとするな!バカ神!!」

「え?そんなこと言ってるとほんとに深くいくよ?」

「こええって!」

「まぁ、とりあえず落ち着きなって。どーどー」

「この状況で落ち着けるかぁぁ!」

そうやって、動けない体に焦りを覚えつつ僕がわめき散らしていると、柚葉は僕にいきなり顔を近づけ、言葉を発する。

「静かにして」

その言葉で僕の焦りや恐怖という感情は消えた。

正確には、そんなこと考える余裕がないほど、目の前の光景が美しかったからなのかもしれない。

「で、なにをするの?」

「散髪だよ、散髪」

「ハサミとかでよくない?それなら」

「うーん、、間違えて皮膚とか切っちゃいそうじゃん、、」

「僕の常識だとあなたが扱ってるもんの方が皮膚どころか、なにもかも真っ二つになるイメージだよ?」

「まぁ、いいからいいから」

そう言って構える柚葉。

「ちくっとしますからねぇー」

「しちゃダメだろ、、」

「あははっ、冗談冗談。」

「あんたのは冗談にきこえねぇのよ!!」

そんな言い合いをしつつ僕は目を閉じる。

どうせ動けもしないし、信じるしか道はないのだろう。

「終わったぜー」

「え?」

そんな間抜けな声をだしつつ僕が目を開けると、柚葉が鏡を僕に向け、自信満々な笑顔を見せていた。

「どうよ!」

「す、、すげぇ、、」

よくもまぁ刀でここまでの芸当ができるものである。

「音もしなかったぞ、、すごすぎるでしょ、、」

「まぁ、音が聞こえにくくなるようなまじないをかけておいたからな!体感すぐ終わっただろっ!」

「めちゃくちゃかっこいいっすね、、」

「だろー!よしっ、これで明日からはモテモテやなっ」

「そうなるといいですねぇ」

と僕は苦笑いをしつつそんな言葉を返す。

「じゃー、ゲームするかー」

「あの、、椅子、、」

「あぁっっ!ごめっっ!」

なんだか格好がつかない人だなぁと慌てる柚葉を見てそう思ったのだった。

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