第5話 神アイテムがオナ〇ットだった件
ババン! ――コレが俺の神(様に強請って貰った)アイテムさ!
「…? その
はいはい。わかってましたともそんな反応ですよねぇー? 意気消沈。
――いや、少なくとも目の前のケモ娘は、今迄の連中と違って
おもむろに顔を近づけてきた。
「*クンスクンスっ* …少なくともパラスの知らない金属の匂いがするのだ。 *ゴンゴン!* ハイエナ族は貴金属の価値はよく解らないのだ。だが、ヒゲ共に売れば暫くの飯代になるかもなのだ」
ちょっ叩くんじゃないよ!? 壊れたらどうしてくれんのぉ~もぉ~?
一応、俺ってば今のとこコレだけが頼りなんだぞ。
確かに何製なんだろうな?
金属にしてはやたら軽いし…どう見てもアルミに見えないし、もっと軽いだろう。
……だが、いざポーション作ろうかねって段階になってどうすれば良く解らない自分がいることにふと気付いてしまった…っ!
「…………。そもそもなのだ。ポーキーの旦那から聞いてるのだが、お前はそんな鍋ひとつだけでどうやって魔法薬を作る気なのだ?」
魔法薬? あ。もしかしてポーションのこと?
「
そう言って彼女は
え!? つーか、パラスも錬金術師だったの?
「違うのだ。魔法薬は殆ど専門外なのだ」
いや違うんかい!? どっちぃ!?
「パラス。は、パラス(※本人のことです)のサル人の師匠の名なのだ。そして、師匠がこの小屋から去った時…
は~…じゃあ何? 獣人文化じゃ個人の正式名がそもそも無かったり、コロコロ変わったりするのかね。
とんだ異世界カルチャーショックですわ。
「で? どうするのだ?」
どうするのだ? って言われてもね…あ!
そういやあのチャラ神が「ちゃんと説明書も中に入れとくね! ウェーイ!」とか言ってやがったなあ。
いや、ウェーイとまでは言ってなかったな、何か勢いでスイマセンした。
俺はとりまその鍋の中に手を突っ込む。
――中は意外と狭い(側が相当分厚いのか?)
その上、何かゴロリとバスケットボールくらいの大きさの玉?のようなものが入っていたので思わず突き指してしまったぜ…地味に痛い(哀しみ)
あった! 玉の下敷きになっていた紙切れをやっと発見した!
「……おい、パラスには読めないのだ」
そりゃ安心の日本語仕様ですから(悪い笑み)
フムフム……“先ずは使用時に火を熾す必要がある為、屋内の適切な場所に設置して下さい。”と、書いてあるが。
……この狭い小屋の中に炊事ができそうな場所なぞあったか?
「竈なんぞ立派なものなんて元から小屋にはないし、パラスの薬作りは殆ど火を使わないのだ。けど、そこに床板を剥がして石と砂利を敷き詰めた場所に前はそこそこ大きな窯が置いてあったのだ。そこを使う事を許すのだ」
じゃ、そこしかないな。
御赦しも出たし。
ええと…“「設置」と発声すると起動し、自動的に固定作業を開始します。”…だと?
……この鍋、そんなハイテクなんかなあ?
まあ、いいや。取り敢えずそこに置いてと…――せ、設置…?
こんなんでいいの?
*バシュゴォー! カン!カン!カン! ウィー…ウィーーーンン*
のわっ!? 底から三脚みたいなのが飛び出して地面にぶっ刺さりやがった。
…しかも高さ調整まで勝手にやってんぞ?
「のだぁ!? 脚が生えたのだ!? 壺鍋じゃなくて機械だったのだ! というか何でお前が一番驚いているのだ? お前の持ち物なのだ…」
無理だよ、俺だった初めて使うんだから。
「動きは…止まったのだ? でもまだ…な、何か変な音が中からするのだ! ヒゲ共が掘り起こした機械みたいに急に爆発したりしないのだ!?」
どうやらパラスは過去にメカ関連で酷い思いをしたことがありそうだな。
んでと、次は“初回起動時は、起動確認後に容器内に水を2リットル入れて下さい。その後は当商品のチュートリアルに従って下さい。エンジョイ!”…。
ん? コレで説明書終わりかよ!?
しかもチュートリアルまで備わってんの?
見た目のシックさと機能性がまるで見合ってない…まさに、神アイテム。
「水? 水なら外にある井戸で好きなだけ汲むといいのだ」
初めて井戸から水を汲んで木製バケツで小屋へと運びこむこと数度(※途中バケツに穴が開いていたこと気付いて叫ぶ俺氏)を経て必要量を何とか満たした。
――するとポコポコと水泡音と共に張られた水面からプカリとあの謎のボール(鍋と同じ材質だと思われる)が浮かび上がってきた。
水に浮くのか? やっぱり普通の金属じゃ…――
「何か浮いてきたのだ……ッ!?」
突如としてボールに大きな裂け目ができたかと思えば巨大な
ま、マジで何なのよコレはぁ~…?
「初めまして、我が
「喋ったのだ!?」
いつの間にか小屋の隅の薬棚の上に非難してやがったパラスが相当驚いている。
ふむ。どうやらこの異世界では機械に音声機能が付いているは標準的ではないようだな?
目玉の声は女性っぽい合成音声のような感じ。
「失礼致します」
*キュイ! ピピッ! キュィーーーン*
そして即座にその目玉から怪光線を放ったかと思うと俺と竦み上がるパラスを瞬時でスキャンしやがった。
「情報解析完了。マイ・マスターの御名前がチェリオ様。そちらの女性がパラス様で相違ありませんね?」
「名乗ってないのに何で名を知っているのだ!? 悪魔の眼玉なのだ!! 呪われてしまうのだ!?」
ややパラスの怯え振りがヤヴァイ気がするが、その目玉は構わずに続けるようだ。
その動じない感じが実に人工物っぽい無機質さを感じるな。
「ワタクシはポーション自動生成アーティファクト。どうぞお気軽に
「オ…何て言ったのだ? オナ、オナペ…?」
おおっと! それ以上は流石にいけないぞ?
確かにちょっと訊き返してしまいそうになる微妙な名前ではあるが。
にしても
「オナポットです、パラス様。ワタクシの正式名は“
「うぅー…
うぅ~ん…俺だって良く解らないが、いわゆるポーション版自動調理器みたいなことだろう?
「では早速チュートリアルへと移行…したいところですが――残念ながら、投入して頂いた水質の純度に問題がありこのままでは予期せぬトラブルの原因となる可能性があります」
た、確かに。何かあの井戸の水は俺が引くほど濁ってたっけ…。
パラスは平気でゴックンゴックン飲んでたけど?
「純度をあげる為、真水化作業を行う必要があります。お手数ですが、投入して頂いた
…………え゛?
思わぬ重労働で俺はチュートリアルを前に小屋の床の上にへばることになった。
因みにパラスはオナポットさんに夢中で手伝ってくれる素振りは全くありませんでした(哀しみ)
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