第1王子

「ウィリアム、まだここにいたのか」

レオンはウィリアムに呼ばれて執務室に来ているのだが、そこに黒髪の男性が入って来た。

「兄上!? どうしてこちらに?」

兄上…ということは、第1王子であるジェラルド王子殿下か。

「どうしても何もあるか!! お前が全然戻って来ないから様子を見に来たんだ!!」

「…すみません。こちらでの生活が楽しくてつい…」

「ん? お前は…」

レオンの存在に気が付いたようでじっとレオンを見ている。

「は、初めまして。レオンと申します」

「ほら以前話したじゃないですか。助けてくれた少年がいるって」

「ああ、それが…。弟を助けてくれたこと感謝する」

「私たちも助けてもらったのよ」

リリアーナとマリアンヌも執務室に入ってきた。

「リリーに母上も?」

「ええ、ホワイトベアに襲われたところを助けてもらったのよ」

「私は病気を治してもらったのよ」

「っ皆助けてもらうとは感謝しかない」

そう言って頭を下げた。

「いえいえ、俺に出来ることをしただけなので気にしないでください」

「そうか…。それにしても母上お久しぶりです。回復されて何よりです。父上も会いたがっていらっしゃいました」

「そうね。身体の調子も良いし、今なら会いに行けるかもしれないわね」

「あまり無理はなさらないでください」

「心配かけてごめんなさい。でもこのぐらい平気よ」


仲が良い家族だ。

だが、やはり家族の空間に俺がいるのは違和感があるな…。

こっそり退出しようかと思ったのだが、ウィリアムに引き留められた。これからレオンにも関係のある話をするようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る