報告

帰ってきた翌日、ウィリアムに執務室に呼ばれた。

「ウィリアム王子、どうされたんですか?」

「実はね…」


ウィリアムの話によると、俺を誘拐した者たちは例の闇組織だったようだ。


まあ、なんとなくそんな気はしてたよ…。組織だのなんだのってクロウも言ってたし。


そして、俺が湖を浄化した光を見て、俺を誘拐したらしい。迂闊だったか…。その湖だが底に怪しい石があったらしい。意図的に底に置かれ、それが瘴気の原因になっていたようだ。


実験だとか言っていたが、まったく本当に何がしたいんだよ…。まあ考えるだけ無駄か。


それと捕えた者たちだが、牢屋で皆亡くなっている状態で発見された。どうやら殺されたのではなく、毒を飲んで自害したようだ。


現在、拠点から押収された資料を調査しているようだが、肝心な資料はおそらく持ち去ったのではないか、とのことでまだまだ分からないことだらけのようだ。


あ、そうだ。クロウのこと、話しといた方がいいよな。

「あの、昨日クロウっていう人と戦ったんですけど、その人がコウモリの幹部だって言ってました」

「何!? 幹部と戦ったのか!?」

「はい。でも兵が来たと知ってコウモリのボスから拠点を捨てるように指示があって、それを聞いてすぐに去ってしまったんです」

「そうだったのか…。まあ無事で良かったよ。コウモリはかなり厄介だ。幹部は特にね。妙な魔法を使うし、それだけじゃない。薬も使って戦ってきたりするから面倒なんだ」

「もしかして、攫われる直前に嗅いだあの匂いって…」

「ああ、奴らの持っている薬だよ…。それで、そのクロウはどんな人物だったんだ?」

「闇魔法の使い手でした。魔力を消すことができるようで気付かない内に背後に回られたりしてかなり大変でした」

「そうか…。何か対策が必要だな」


そのとき、扉が開き、1人の男性が入ってきた。

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