ホワイトウルフ

いよいよこれからホワイトウルフに会いに行く。準備万端だ。


今は町を歩いているところだが、それにしてもさっきから獣人がかなり多いな。今まで通ってきた地域では全く見かけなかったので初めて見た。個性的なふさふさの尻尾にもふもふの耳、様々な種類の獣人がいて、見ていて楽しい。


リナによると、ここは何百年も昔から獣人が暮らしていた地域で、寒さに強い獣人が多く暮らしているらしい。


そのとき“ワオーン”という遠吠えをする声が聞こえてきた。

この声は間違いない‼︎ホワイトウルフだ‼︎

そう思った俺はすぐにその方向に向かって飛ぶ。

「ちょっと、レオン様‼︎」

慌ててリナが追いかけてくる。


俺はホワイトウルフの側に降り立った。そして、ホワイトウルフと目が合った。その瞬間、ホワイトウルフが全速力で俺の方に突っ込んできた‼︎

「うわっ‼︎」

すっかり見惚れていたが相手はオオカミだ。

食べられる‼︎と思って目を閉じたが、いつまで経っても衝撃はやって来ない。

ぺろっ、ホワイトウルフは俺のことを舐めてきただけだった。

目を開けたが襲おうとする気配はない。一体どういうことだ?


「レオン様‼︎大丈夫ですか⁉︎」

「ああ、俺は大丈夫…だけど」

「もしかして、誤解されてたのかもしれませんが、ホワイトウルフは人を食べたりしませんよ。こちらから襲いかからなければ、ですが」

「そうだったのか…」

俺はホッと胸を撫で下ろす。

ホワイトウルフが俺にくっついてくる。俺はホワイトウルフを撫でる。本当に柔らかい毛並みだな。気持ちいい…。

「そのホワイトウルフ、レオン様にかなり懐いてますね」

「そう?これが普通なんじゃなくて?」

「いやいや、ホワイトウルフは基本単独行動なのでいきなり近付いてきたりしませんよ‼︎」

「へえ、そうだったんだな」

「ワオーン」

「まあ、だからと言って連れて行くわけにも行かないけどな」

北部は俺たちが暮らしていた南部とは気候が違いすぎる。俺たちはずっとここに留まるわけではない。北部の魔獣が南部の気候に適応できるわけがない。残念だが一緒に行動はできない。

とにかく今は一緒に遊ぶことにした。

雪景色の中で走り回ったりして散々遊んだ後、満足したのか、そのホワイトウルフはどこかに帰っていった。

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