神獣

「おはよう、リナ」

「おはようございます、レオン様。えっと…そちらのわんちゃんは一体…」

「この子は神獣だよ。昨日窓から入ってきてね」

「え!?神獣様ですか!?」

「うん。そうだよ〜」

「しゃ…喋った!!」

昨日の俺と同じ反応をしている。

「僕は神獣だからね〜」

そして、また同じことを返している。


昨日何があったのか、リナに一部始終説明した。その話を聞き終えたリナに「こちらのわんちゃんが神獣様だとは知られない方がいいですね」と言われた。知られたら、神獣はともかく、神獣の情報を知っているであろう俺が襲われるかもしれないらしい。厄介なことには巻き込まれたくなかったので、リナの助言通りに他の人には従魔として紹介することにした。従魔とは契約で従えている魔物のことである。話せる魔物も多いので、従魔ということにしていると神獣が言葉を話しても怪しまれにくい。従魔には、間違えて襲われることを防ぐために首からカードをぶら下げてもらう。そのカードには主人の名前や魔力が登録されている。従魔が迷子になったときに、探索魔法でその登録されている魔力を辿って主人の位置が分かる仕組みになっている。


「そういえば、神獣様の名前は何ですか」

「名前はないよ〜。君たちで自由に決めてよ〜」

「だ、そうですよ。レオン様」

「俺か?」

「当然ですよ。この神獣様はレオン様の従魔ということになるんですから」

こうなっては仕方ない。何か良さそうな名前を考えるか…。

「う〜ん…。ならルーンでどうだ?」

ルーンには神秘という意味がある。神獣にはぴったりの名前だ。

「ルーンか。いいね‼︎気に入ったよ」

喜んでもらえたようで一安心した。


これからこの街を出て、隣町ミュントルに向かう。地域によって冒険者ギルドで受けられる依頼の種類や数が異なる。今いるのは王国の南部だ。北部はこことは全然気候が違う。年中雪景色のようだ。前世でも雪があまり降らない地域に住んでいたため、雪景色は見たことがない。それに北部には、北部にしか生息していない魔獣がいるようだ。是非とも見てみたい‼︎そこで北部に行くことに決めたのである。だから徐々に北部に向かって進んで行く予定だ。

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