謎の犬、現る!!

ウイリアムたちと別れ、宿に戻ったその夜、一匹の銀色の美しい犬がふわりと窓から入ってきた。ここは3階だ。犬が入って来れる高さではない。まさか幽霊か⁉︎そう思ったその時だった。

「初めまして、レオン」

「え………い、犬が喋った!?」

そう。なんと、その犬が話しかけてきたのだ‼︎

「僕は神獣の一種だからね〜」

神獣…聞いたことはある。神様から特別な力を与えられている神聖な存在だとかなんとか…。この犬は、普通の犬とは明らかに違う。毛並みも美しく、気品も感じられ、神獣だと聞き、すぐに納得した。

「……どうして、神獣がここに?」

「君に伝えないといけないことがあってね。創造神様から頼まれてここに来たんだ」

「え!?創造神様から!?」

「そう。本来、生き物が死んだら前世の記憶を消して転生させるんだけど、創造神様のミスでね、記憶が残っちゃったんだよね…」

前世での記憶が残っていると、家族との関係構築などに支障がでたり、地域によっては悪魔に取り憑かれていると騒がれたりするらしい。だから記憶を消しているみたいだ。

「でも俺は正直前世の記憶のおかげで魔法が使いやすいし、助かってるよ」

「そう、それならいいんだ。ああ、あと、創造魔法。あれは創造神様からの今回の件のおわびだよ。本当はもっと早く会いに行く予定だったんだけど、あったかくて、のんびりしてたら遅くなちゃったんだ〜」

そう言って、床でくつろいでいる。本当にマイペースな神獣だなぁ。

「あっ、そういえば、もしかして皆が創造魔法を知らなかったのって…」

「うん、創造神様の魔法だし、ちょっと特別な魔法だからね〜」

やっぱり。どうりで誰も知らないはずである。

「これから、僕しばらくこっちに留まるから。よろしくね」

「留まる?」

「うん。人間界って美味しいものも多いし、のんびりいろんなもの見てみたいから、しばらく留まることにしたんだ〜。折角だし、君に同行することにしたよ」

「え⁉︎」

俺はいきなりのことに驚いた。だが、創造神様からはきちんと許可をもらってきたようで、それならいいかと思い、一緒に行動することにした。

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