戦闘

魔獣討伐を終え、帰る途中、馬車が五匹の魔獣に取り囲まれているのが見えた。馬車の周りには馬車を守るように3人の護衛がいて、戦っている。明らかに人数が足りていない。苦戦を強いられているようだ。

「あれはっ‼︎ビッグウルフ‼︎」

割とそのまんまだな。要するに大きなオオカミだ。見た目は俺が知ってるオオカミの2倍はあるが。

「いくらビッグウルフの子供とはいえ、危ないですよ‼︎」

いや、あれで子供なのかよ!?

ちょっとやばそうだな。

一緒に戦った方が良さそうだ。

「俺たちも行こう‼︎」

「ええっ‼︎いくらレオン様でも危険ですよ‼︎」

「分かってるが、放ってはおけないだろう」

「っ分かりました。協力します。でも、危険になったらすぐに逃げてくださいね‼︎」

「ああっ、ありがとう」

この前、岩を吹っ飛ばしたときみたいに風魔法を圧縮して真ん中にいるビッグウルフに向けて放つ。

「風よ、行け‼︎」

ビッグウルフはドンッと音を立てて倒れた。残り4匹だ。

「な、何だ⁉︎」

護衛の人たちがいきなりのことに驚いている。

「俺たちも加勢します‼︎」

もう一度他のビッグウルフに向けて放つが、今度は上手く躱されてしまった。

「ビッグウルフは身体能力が高いので、一回気づかれてしまうと簡単に避けられてしまうんですよ」

そうだったのか。それであっさりと…。

そのとき、一匹のビッグウルフが馬車に向かって飛び掛かった。このままでは…。だが俺はまだ防御魔法は何一つ練習していない。使えるのは風魔法のみ…風魔法以外の属性は練習していない。ん?そうだ‼︎俺には創造魔法がある。ビッグウルフと馬車の間に石の壁を作るようイメージする。

「よしっ、できた‼︎」

急にできた壁に驚き、ビッグウルフに隙が生まれた。前世でテレビで見た、地面から槍を突き刺すイメージをする。4匹まとめて突き刺すイメージだ。

「これだ!! はあっ!!」

グサっと見事に刺さり、4匹のビッグウルフが倒れた。

「やったぞ‼︎」

「すごい!!すごいですよ、レオン様!!あのビッグウルフを倒すなんて!!」

「す、すごい…」

「ビッグウルフはAランクだぞ‼︎それをあんな子供が…」

「今の魔法は何だ⁉︎見たことがない」

護衛の人たちが口々に言う。


ちなみに、魔物のランクだが、冒険者ランクと同じでSSS〜Fまで存在する。今日倒したスライムが唯一のF級、ホーンラビットはE級だ。


馬車の扉が開き、1人の男性が降りてきた。明らかに高位貴族だ。容姿、佇まい、それら全てに品格があり凄まじいオーラを放っている。

「助けてくれてありがとう」

そう言うとその男性は頭を下げた。

「あっ頭を上げてください」

こんないかにも身分が高そうな人に頭を下げられては落ち着かない。

「ああ、僕はウィリアムだ。この辺りは普段ビッグウルフなんて出ないし油断していたよ」

「ご無事でなりよりです、ウィリアム様。俺はレオンです。彼女は侍女のリナです」

「リナと申します」

「そうか。それでさっきレオンが使った魔法はなんだ⁉︎初めにレオンが使った風魔法、あれは上級魔法だろう?どうやって学んだんだ⁉︎」

「えっ、えっと、、、上級魔法だったんですね。魔法の縮小をイメージしただけなんですけど……。ああ、ちなみに最後に使った魔法は創造魔法という魔法ですよ」

「だけ⁉︎イメージするのは物凄く難しいのに⁉︎それに創造魔法?そんな魔法聞いたことがないが、特殊魔法なのか?」

「はい。物を何でも創造できる魔法です」

「な、何でも…それは凄いな」

「はい。便利な魔法です!!」

ウィリアムも護衛の人たちもリナもなぜか固まってしまっている。

変なことでも言ったかな?


その後、ウィリアムたちに別れを告げ、宿に戻った。

ウィリアムには

「少し待ってくれ、お礼がまだできていない」

と引き止められたが丁重にお断りした。本当に何というか凄い男性だったな、改めてそう思った。


そして、リナには

「あのレオン様!!」

「ん?」

「創造魔法でしたっけ。あんな魔法いつ使えるようになったんです!?」

「えっと、神殿に登録しに行ったあと、気づいたら増えてたんだ」

「ええ!?」

「こんなものとかも作れるんだよ」

そう言ってこの前作った剣と盾を取り出す。

「見せていただいても?」

「うん。いいよ」

「その素材、まさかミスリルでは!?」

ミスリルは他の金属より強度が高く、非常に貴重な金属である。

「そうなの!?」

「はい、間違いないですよ!!」

どうやら、知らぬ間にまさかのミスリル製を生み出していたようである。この創造魔法があれば本当に何でも作れるようになるし、実に素晴らしい魔法だ!!と思ったレオンだった。

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