第2975話 ハンパな神じゃ話にならねぇ。
(……お、俺が、『1兆の敵』にジャイアントキリングを決めるには、『10枚落ちの勝利』を目指すしかなかった……)
つまりは、『相手を遥かに上回る戦闘力』を身に着ける必要があった。
(俺は強くなった。必死に下地を磨き上げ、そこらの一般人が相手なら、存在値を100以下に抑えたとしても、10億人単位を同時に相手にできるぐらい……俺の戦闘力は磨かれた)
センは、この3億年の中で、素晴らしい『戦闘力』を身に着けた。
それは、絶対的な事実。
しかし、
(……その俺を……てめぇは超えるのか……アダム……っ)
「焦りが伝わってくる。愚かな半神よ。私が背負っている『究極超邪神』の看板を舐めるなよ。伊達や酔狂で、その『頂(いただ)き』を名乗っているわけではない。事実、私は、究極を超えた邪神なのだ。神にすらなり切れていない『ハンパの塊』のような貴様に対処できる絶望ではない」
そう言いながら、最初から最後まで、とことん、
手抜かりなく手を抜いた状態で、センをあしらっていくアダム。
現状は『赤子』と『総合格闘技チャンピオン』が、リングの上にいるようなもの。
遊ばれて当然。
というか、もはや、遊ばれている次元ですらなく、
ほぼ『あやされているだけ』という、
セン的には、とんでもなく悲惨な状態。
(……『1兆』という数字をナメているわけじゃなかった……しかし、どこかで、『見えていなかった』のも事実……なんだかんだ、勢いでどうにかごまかせるんじゃねぇかって……どこかで、そうタカをくくっていた……)
もっと言えば、現実を正面から受け止めたら心が壊れるから、目をそらすしかなかった。
(やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ……完全に詰んでるじゃねぇか、どうするんだよ、これ……考えろ、考えろ、考えろぉおお……)
頭をフル回転させて、センは現状を打破する方法を探る。
――これが、これこそが、センエースが誇る最も強大な強み。
これだけ、完全に詰んでいる状態でも、『とんでもない熱量』で『未来を模索すること』ができる。
常人には決して真似できない『ぶっ壊れ方』――これこそが、センエース最大の特徴。
『あきらめない』と口に出して『がむしゃらになるだけ』なら、誰でもできる。
問題なのはその先。
――『場が完全に詰んでも、【本当の意味】で【諦め方】を忘れて、最後の最後まで徹底してあがき、もがき、苦しみ続けることができる』という完全に壊れたサイコパスぶり。
その純度のエグさが、センエースの強み。
(半神のままじゃ話にならねぇ……俺も『神』になるしかねぇ……っ!)
答えにたどりつくと、
センは自分の中に没頭する。
深すぎる明鏡止水の奥底で、
センは、必死になって自分を探す。
(開け……俺の可能性……ここまで散々積み重ねてきた……そろそろ、ツボミの時期は終わって花を咲かそうぜ……たのむからさぁ)
『ただの奇跡』を待つほどメルヘンではない。
センが望んでいるのは『これまで積み重ねてきたもの』の昇華。
3億年も積んできたんだ。
何もないとは言わせねぇ。
(開け、開け、開けぇええ!)
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