第2745話 しょせんは、ただのヌケガラ。
センの中学時代の同級生にしてヤンキーの王様『蝉原勇吾』。
彼のプラチナスペシャル『ディアブロ・コミュニティ』は、
『蝉原を愛する悪人の数が、そのまま蝉原の力になる』というもの。
プラチナスペシャルの中でも最高格。
歪んだ狂気を孕んだ魔王のスペシャル。
(内包された性質こそ真反対だが、シルエットは同じ……重大な相違点は、『数』が重要になってくるディアブロ・コミュニティと違い、こいつの『この上なく尊き魂の系譜』は、系譜に連なる者の『質』が重要になってくるという点……)
センと対峙する時間の中で、
必死になって、『センエースの可能性』をはかろうとする。
先ほどのデコピンで、すでに、ウムルの心は折れていた。
(もはや、レベルの低下は、この場における戦力の決定的な差とはならない……というか、レベルが爆発的に下がったということは、『ここからまた爆発的に上昇する』という意味で、やつにとってはプラスになるんじゃないか……?)
レベルアップに必要な経験値の数は、
レベルが低ければ低いほど少ない。
世界の常識。
(ゼノリカという投資先に全ブッパして、手元スッカラカンの状態でこの強さ……今後、ゼノリカが強くなるたびに、こいつの本質的な輝きは増していく……その上で、今後、自身の財布にも、爆発的な勢いで金がたまっていっていき、実質的な強さも増していく……む、ムチャクチャだ……)
あらためて、センエースの怖さを思い知る。
これが、センエース。
狂気の努力で、無限の強さを貪り続ける修羅の華。
(貴様の強さは認める……貴様は本当にとんでもない男だ……けれど、サレンダーはしないぞ……蝉原には可能性がある……蝉原なら……貴様を超えられる……)
ウムルはすでに折れている。
だが、それは『この場での戦い』で『勝利は不可能』と、
適切な『電光石火の判断』を下しただけで、
センエースという概念に対して『白旗』をあげたわけではない。
(しょせん、私はただのヌケガラ……できるだけ多くを蝉原に残す……それだけを考えて舞ってやる……っ)
あらたな覚悟を決め込んでいるウムルの視線の先で、
センは、ゆったりとした王者のテンポで、
「できれば、『完全なる俺個人の力』で、お前をぶっ飛ばしたかったが……それは、これから先、努力をした上で『数値を取り戻してから』にさせてもらう。俺は、どこぞの破壊王子みたいに『わざわざポ〇ラを握りつぶすようなマネ』はしない。基本的には一人でやりたい派の男の子だが、状況しだいでは、使えるものを全部使って敵を殺すこともいとわない。そういう臨機応変な対応ができる男の子なのさ」
「……」
恐怖で体が震えているウムル。
――ちなみに、GODレベルとは、
基礎レベルが低ければ低いほど、多くの経験値を獲得でき、
かつ、すべての行動が経験値になるという特殊なシステム。
つまりは、
今も、センの内部では、GODレベルが、爆発的に上がり続けている。
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