第1637話 めんどくさっ!
「龍試委員会に所属させてください。そうすれば、学園に貢献することが出来ると思います」
「あらあら、ロコったら、そんなに、学園のために働きたいの? しょうがないわねぇ。わかったわ。あなたの心意気に免じて、退学は取り消しましょう」
などと、白々しくそう言ってから、
ゲンに視線を向けて、
「あなたはどうするの?」
問われたゲンは、
心の中で、
(……めんどくさ……めんっどくさっっ! なんだよ、このアホみたいな流れ! なんだよ、この便利に使われてる感! うざっ! うっざぁああ!)
心底からの言葉を吐き捨てる。
ゲンは、賢くないが、バカではないので、現状に対する理解は足りている。
(……『あの二人(アモンとIR3)』は、能力も様子も奇妙すぎる。『ただの受験生』ではなく『何かしらのヤバいヤツら』なのは明白。おそらく、『どっかのエリアから派遣されてきスパイ』とか『俺の知らない暗部の何かしら』とか、そういう『なんかヤバい系』のやつら……少なくとも、学位が目当てじゃないのは間違いない)
ゲンは、『五大家の情報網』を持たないため、
ルルのように、
『非常識力の高いイマジネーション』を働かせて、
『あの二人は異世界人である』という回答にたどり着く、
――ということは、さすがに出来なかった。
『自分』のような『転生者』である可能性は、ちょっとだけ考えた。
ただ『軽く、頭をよぎった』くらいのもので、
二人の雰囲気や態度から、
『第一アルファ人っぽさ』を微塵も感じなかったため、
『結論』に到ることはなかった。
結果、ゲンの中の、アモン&IR3に対する『最終的な結論』は、
『なんか知らんけどヤバい二人』に落ち着いた。
――ちなみに、『大きな組織がバックについている』
という事を想像することは出来なくとも、
言動や意思の強さから、
『何かしらの使命を帯びている』
と感じることはできた。
というか、単純に、あの二人は、あまりに強すぎる。
もっといえば、全体的に雰囲気が異質すぎる。
(……ルルは、『あの二人』の監視を俺とロコにやらせようとしている。この学園に近づいてきた目的・真意を、俺たちに暴かせようとしている……それは分かる……わかるけど……め、めんどくせぇ……龍試委員会っつったら、ほとんど生徒会みたいなもの……ああ、イヤだぁ……ウザいぃ……まだ、やりたいことは死ぬほどあるってのに、くだらない雑用に時間を取られるなんて……マジで、鬱陶しい……)
『学校の帰りにドンキにいってタスキを買ってくる』、
という、そんな簡単なミッションですら、
実のところ、全力で嫌がっていたほど、
『雑用』が大嫌いな男――それが、ゲン・フォース。
『自分でやると決めた面倒』なら、
『朝から晩まで剣を振り続ける』という、
とんでもない内容でも、
黙々とやり続けることが出来る変態だが、
『時間を取られるだけの無為な雑用』は、
『死ぬほど嫌い』という極端な性格。
(……くそがぁ……)
心の中でツバを吐きながらも、
ここで拒否権がないことは理解できているので、
しぶしぶ、
「……りゅ、龍試委員会に……入れてください」
「あらあら、『龍試委員会』なんていう『面倒な仕事』は、あなたの大嫌いな『雑用』の最たるものなのに、自ら、その面倒を背負おうとするだなんて、珍しいこともあったものねぇ」
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