第1515話 俺、天才だし。
「それが本当なら、多少、興味深いが……しかし、それ、ロコ様に関係ある話か?」
「あるに決まっているだろう、バカか! ちょっとは思考しろ! バカが!」
「……」
怒りに打ち震えているゲンに、
ボーレは続けて、
「まあ、ぶっちゃけたところ『俺の偉業を自慢したかったから』ってのが、お前にこの話をした本音のところだがな!」
「……」
「他のやつは、話を聞いてくれそうになかった! しかし、俺はどうしても自慢がしたかった! そこで見つけたのがお前だ!」
「いっそ清々しいな。ここまで完璧にナメられていると」
怒りが一周して、逆に冷静になったゲン。
そんなゲンに、ボーレは続けて、
「まあ、俺がお前をナメているのは事実だな。だって、俺の方が強いし」
「いずれ抜くと思うけどな。俺、天才で努力家だし」
普段のゲンなら、間違っても自分を天才とは言わないが、
現状のゲンは、ボーレに対してブチ切れているので、
つい、『かまし』の一環として、
天才という言葉を使ってしまった。
言った直後に後悔したりもしているが、
吐いたツバは飲み込めない。
ボーレが、渋い顔で、
「まあ、お前が才能あふれる努力家だってことは認めるさ。この速度で成長したヤツを、俺はほかにしらない。けど、今の時点では俺の方が上。というわけで、抜かれるその日までは、全力でマウントをとらせてもらう!」
「後先考えないにもほどがあるな」
「そうでもないぞ。今回、話を振ったのは、自慢したかったってのが理由の大半だが、お前に対してもマジでメリットがある。今のところ、秘密の部屋の存在を知っているのは、俺とお前だけだ。もし、秘密の部屋に、とんでもない御宝(おたから)があったら、お前にもワケ前をやろう。当然、9:1だが、0よりは遥かにいいだろう」
「とんでもない宝があればの話だが……」
「なかったとしても、この話をお前に振ったという事実はかわらない。というわけで、これからも俺は、『お前より強い間』は、ずっと、お前に対してマウントをとっていく構えだけど、お前の方が上になった時は、今日の事を思い出して、俺に対して手心を加えるように。わかったな」
「……ほんと、すげぇ性格してんな、あんた」
★
あのあと、いろいろ、なんだかんだあって、
結局、ゲンは、
(もし、本当に、そこに凄い宝とかがあって、それが数百億とか数千億とかの大金だったら、また何かチートを買えるかもしれない……そうなれば、『最強』に、また一歩近づく。この先、ロコの剣としてやっていく上で、力はいくらあっても足りない)
ボーレに誘われるまま、
『秘密の部屋』の入り口へと向かったのであった。
校舎を出て、
結構な距離を歩いたところで、
「ここに地下への隠し扉があるんだ」
言われて到着したのは、チョコネコの不思議な館の裏だった。
ボーレは、館裏に生えている大木の前で、
「……ステーキ定食、弱火でじっくり」
そう言うと、大木がブブブっと揺れて、人が入れる大きさの穴が開いた。
「……なんだ、これ」
「びっくりだろ。呪文をとなえると通れるようになるんだ」
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