第1514話 デジャブ。
「女子的な怖さ……いや、それはちょっと違うんじゃないかなぁ。あれは、もっと、こう、根源的な人のヤバさというか……いや、んー、でも、まあ、否定しきれないところもなくはないかな」
「あ、もちろん、狂人的な怖さもあるぞ。そんなことは言うまでもないって感じだ」
「……ああ、そう」
ボーレとの会話に疲れてきたゲンは、
「で? 結論を言ってくれねぇ? 俺、ヒマじゃないんだよ。一分一秒が宝物系男子なんだよ」
結論をもとめるゲンに、
ボーレは、ピシャリと、
「俺だってヒマじゃねぇよ、ナメんなよ」
「……もぉ……うざぃぃ……」
あまりのウザさから、ついにゲンは天を仰いで深いため息をつく。
そんなゲンに、ボーレは、
気ままなスタイルを維持したまま、
しかし、一応、話を前に進めていく。
「彼女に対するストレスを解消しようと、ここ数日の俺は、一年の頃からの日課である『全宮学園の謎探し』にいっそう熱をいれることになった」
「……はぁ? えっと、何言ってんのか、理解できなかったんだが?」
あまりにも、途中で『話の流れがグイっと変化した』ので、数秒では対応しきれなかった。
ボーレの会話テクは、あまりに高等が過ぎて、
一般人では理解することが難しい。
ゲンは渋い顔で、
「全宮学園の謎探しぃ? …………だ、だめだ、どんだけ考えても意味がわからん……」
「簡単に言おう。俺は、ずっと、この全宮学園には、なにか、すごい秘密があるんじゃないかと探っていた」
「えっと……それは、つまり、『全宮学園には秘密ある』みたいな事が書かれた文献みたいなものがあったからか?」
当然、そういうのがあったから探索しようと思ったのだろう。
――では、それはどういうもの?
『という話の流れになるものだ』とばかり思っていたゲンの脳に、
「いや、別に」
カウンターがつきささる。
情動をつかさどる箇所にコークスクリュー。
「……べ、別にと来たか……」
「俺は、ただ、純粋に、『なにか秘密があるんじゃないか? あったらいいな。謎とか暴けたら楽しそうだな』と思って、あちこち探し回っていただけだ。それ以上でも、それ以下でもない」
(……どこのハルヒだよ……)
「ちなみに、俺は、この学校の秘密を探すのに、この3年間、毎日8時間以上を費やしてきた」
「……すごいですね……はじめてですよ、ここまで私を呆れさせたおバカさんは」
心底から、ハイレベルに呆れかえるゲン。
(初対面の時から、しっかりと『ヤベェやつだ』とは思っていたが、どうやら、想像を超えるヤベェやつだったらしい……)
ボーレという人間に恐怖すら覚えてきたゲンに、
ボーレは、続けて、
「苦節3年、俺の労力が、ついに身を結んで、俺は、本当に、『秘密の部屋』への入り口を発見したのだ」
「……ぇ」
またもや、話の流れがグイっとして混乱するゲンに、
ボーレは続けて、
「まさか、本当に『謎』があるとは思っていなかったから、発見した時は普通にチビった!」
「それが本当なら、多少、興味深いが……しかし、それ、ロコ様に関係ある話か?」
「あるに決まっているだろう、バカか! ちょっとは思考しろ! バカが!」
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