第1457話 バンスールの悪夢。
「完成。……バンプティとスールが合体して、バンスールってとこかな」
などと口走る『バンスール』に対して、
カドヒトは、
(まあ、当然、奪われるわな……さすがに、スールじゃ、バンプティBには抗いきれねぇ。そして、やっぱり、ゴタン化しただけ。普通に弱くなっている)
心の中で、タメ息をつきつつ、
パキパキと首をならしながら、
「混沌融合……か。んー……何かしらの特殊な融合なのかと期待したが、今のところ、大きな変化はみられないな。存在値は、さほど上がっていないし、戦闘力にいたっては、普通に低下しているように見える。まあ、そう見せているだけで、実は上がっているという可能性もなくはないんだが……その可能性は、実際のところ、かなり低そうだ」
体軸の歪み率を見るだけでも、
戦闘力のおおよそを予測することは出来る。
もちろん、この手の『望診(ぼうしん)』は、
『相手の事を深く理解している』という事が前提になるため、
『初見の相手』を見抜くことは難しいし、
そもそもにして、どれだけ積もうと、
『完全な看破』は不可能で、
永遠に『予測』の域を出ないのだが。
――カドヒトの評論を聞いたバンスールは、
ニタっと黒く微笑んで、
「戦闘力など、どうでもいい。必要なのはカオスコアを増やすことだ」
そう言うと、
スゥっと息を吸って、
「まわれ、ナイトメアバンプティルーレット」
宣言すると、
『カオスバンプティルーレット』とはまた違った形状のルーレットが出現して、グルグルと、不気味な音をたててまわりはじめる。
「……まだ、五分は経っていないはずだが?」
「オレにまわせるルーレットが『一つしかない』と、いつから錯覚していた?」
と、前を置いてから、
「ナイトメアは『その性質』を暴露しない限り、永遠に回り続ける」
「暴露のアリア・ギアスを積むことが前提か。となると、耳をふさいだ方がいいのかな?」
「関係ない。オレに暴露する意思があったかどうかと、そのために行動を経たかどうかと、その二点を相手に伝えているかどうかのみが重要」
「なるほど、すでに『耳をふさぐべき時期』は過ぎているってことか。なら、聞いておいた方がいいよな。さ、どうぞ。教えてくれたまえ」
「偉そうに言うな、鬱陶しい」
吐き捨ててから、
「ナイトメアの出目はランダムではなく、確定で『カオスシステム』が追加される鬼仕様。ただし、混沌融合でカオスコアを追加している必要がある。ナイトメアのクールタイムは半日。システムを使用できる時間はクールタイムと並列。以上だ。質問があれば受け付ける」
「……質問を受け付けなければ成立しない暴露か。なかなか重たいアリア・ギアスだな。しかし、その分、効果は絶大だろう」
カドヒトはニィと笑って、
「質問一、お前は誰だ? 名前じゃなく、お前という概念について教えろ」
曲解でもって踏み込んでいく。
『現状』は『質問の受付が開始された』だけであり、『ナイトメアバンプティルーレットについての質問』だけが認められているというワケではない。
――と、勝手にそう判断したカドヒトは、
ズバっと踏み込んだ質問をしてみたのだが、
「禁だ」
バンスールは、サラっとそう答えた。
「……禁?」
カドヒトの疑問に対し、
バンスールは首を軽く横に傾けて、
人差し指をたて、ウインクしながら、
「禁則事項です♪」
と、かわいこぶってみせた。
かるくイラっとしたものの、
カドヒトは、冷静に、
「……なるほど。では、追加されるシステムの数と詳細は?」
「長だ」
「……はぁ? ちょう?」
「長くなりすぎるため、ご容赦願います♪」
その、あまりにも『ふざけきった返答』を受けたカドヒトは、
しっかりとイラっとした顔で、
「……お前、なんの質問なら答えるんだ?」
「答えられる項目はたくさんある。試しに今の調子を尋ねてみろ」
「……お元気ですか?」
「あいむふぁいんせんきゅ」
「やかましわ」
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