第1106話 社会勉強の時間は終わり。
「もう無駄だってことはわかっただろう。さあ、社会勉強の時間はここまでだ。これ以上、俺に抵抗するなら殺す。そこにいる女どもも殺す。俺は決して理不尽な悪者じゃないが、邪魔してくるやつは殺す。俺はそうやって生きてきた」
その発言に対し、
センが、
「誰にだって『譲れない生き方』ってのがあるよな。わかる、わかる」
うんうんと頷きながら、そう言って、
「そんじゃまあ、『そいつ』をぶつけあわせようか。『お前の譲れない生き方』と『俺の譲れない生き方』……どっちが勝つか、そういう戦争を、いざ、はじめようじゃないか」
「……バカじゃねぇのか。今からはじまるのは戦争じゃねぇ。虐殺だ。これから、お前らは、俺に殺されて、全てを奪われる。それだけの話なんだよ」
言って、
78番は、
センBに向かって、再度殴り掛かった。
先ほどと同じ展開になると疑っていない78番。
追撃方法についてのみ頭を働かせて、
だから、
「ぐぃっ!!」
カウンターをくらうだなんて、
まったく思ってもいなかったから、
グラリと、大きくよろけて、
――だから、そこに、
「いつだってそう。……グワっと熱くなると……少しだけ、世界がスローになる……」
ガツンッッ!!
と、センBの拳が、78番の顔面にクリーンヒット!
魔力の推移が雑で、
オーラの練り方もお粗末。
極限まで『弱体化』されたセンBは、
すべてが矮小で粗悪な分身。
けれど、
その根源にあるのは、
この上なく尊き神の王、
いと美しき月光の龍神、
――舞い散る閃光、
だから、当然、
「俺より強い程度の雑魚に……俺は負けない……っ」
「ぐほっっ!!」
二発目――『渾身の左フック』をいただいた78番のアゴが上がる。
センBはとまらない。
「俺は偉大なる最強神の化身! お前なんかに負けるわけがない、天上のアバターラ!」
怯んだ78番をボッコボコにぶん殴るセンB。
勢いは良かったのだが、
いかせん、火力が低すぎたため、
「……調子にのるなよ、ガキ……」
軽く鼻血を出してはいるものの、
しかし、たいして大きなダメージを受けている様子はない78番。
景気よく自分を殴っていたセンBの腕をつかみ、
「ザコの分身風情が……俺に勝てるワケないだろ。……砂漠のシーバンをなめんじゃねぇ」
北部の砂漠地帯を根城にしているバウンティハンター『砂漠のシーバン』。
トーン共和国の領地内ではちょっとした有名人。
酒好きで粗野で口が悪い――けれど、どこかにスマートさを感じさせる傑物。
どんな無理難題も平然とこなしてみせる、名うてのバッドアス。
ちなみに、『火龍会のサーバン』の弟である。
※ 勇者ハルスが魔人になった時に出会ったヤクザ。
「うぐ……ぬっ……」
どんなに気合を入れようと、
センBとシーバンの間にある『明確な実力差』を埋めることは難しい。
センBは必死に抵抗したが、
さすがに、
「く、そ……くそぉ……」
勝てるわけがなく、
ボロボロの姿で膝をつく。
肩で息をして、
たまに、オエっと血をはきだす。
そんなセンBを見下ろしながら、
シーバンは、
「……もういいだろ。わかったはずだ。お前じゃ、どうあがいても、俺には勝てない」
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