第1100話 降参だ、おめぇの強さはよぉくわかった。オラはもうやめとく。
「……ゴートを空気扱いして、俺の意識から消す……か。しょうもない手だ。自分が、そんなくだらない手に負けたとは……思いたくないな……」
「くだらない手ねぇ……まあ、後からなら何とでも言えるさ。『その時、その瞬間の意識を奪い合う闘い』の『結果』に対する『論評』ほどお寒いものはない」
「……」
「鉄火場では、いつだって、どんな方法であれ『敵の目を欺けた方』が勝つ。どれだけしょうもなかろうと、どれだけ安っぽい『珍手』だろうが、勝ったやつが正解になる。それが戦争だ」
「……そうだな」
P型センキー・ゼロオーダーは、うなずきながら、
「その理(ことわり)。心に刻んでおくよ、テンドウクスオ」
そう言ってから、
今度は、ゴートに視線を向ける。
視線を向けられたゴートは一瞬だけ身構えた。
少し震えている。
折れてはいないが、しかし、明確な恐怖を感じている。
そんなゴートに、
P型センキー・ゼロオーダーは言う。
「降参だ。お前の強さはよーくわかった。俺はもうやめとく」
そんな、敗北宣言を受けたゴートは、
「……」
数秒、固まってから、
「……それは、あれか? 『出番だぞ、〇〇』とか言って『キレさせたらヤバい危険物』を出してくる前フリか?」
「いや、ただの降参だ。俺は敗北を認めた。だから、お前はリーン・サクリファイス・ゾーンをとりもどせる。よかったな」
「……」
「……『無限転生・改』の『余(あま)り』……本当なら『お前に使わせる予定』だったんだが……まさか、俺が使うハメになるとは……情けない話だ……」
P型センキー・ゼロオーダーが『把握』したミッションのキモは、
どっちが『無限転生・改の余り』を使うか、という点にあった。
「……何を言っているかよくわからんのだが?」
「俺だって、詳細は知らない。俺の中には『闘いに関する知識』と『ミッション内容』しかない。俺はそれだけの存在で、それ以外は必要のない存在」
「……」
「細かいことは俺も知らん。ただ、とりあえず、とにもかくにも、お前の勝ちってことだ、ゴート・ラムド・セノワール」
そう言いながら、P型センキー・ゼロオーダーは、
そこで、なんの前触れもなく突然に、
『己の胸部』に手をつっこんで、
中から『心臓』をちぎり取ると、
「受け取れ」
言って、自分の心臓を、ゴートに投げた。
「どわっ」
『急に心臓を投げつけられる』という経験が皆無のため、
当然のように困惑したが、
状況的にスルーするわけにもいかず、
ゴートは、投げつけられた心臓を両手でしっかりと受け止めた。
「最初に伝えた通り……今日から俺は、お前の剣だ」
「……」
「俺が必要なくなったら、その心臓をつぶせ。そうすれば、俺は死ぬ。無限転生・改は完全に枯渇しているから、もう復活はできない」
「……」
「迷うな、ゴート。俺はお前の剣だ。自由に使えばいい」
「……その話を信じる根拠は?」
「全快の状態で復活した今の俺なら、疲弊したお前とクスオを殺しつくせる。しかし、それをしないで、心臓を差し出した。十分な根拠だと思うが?」
「……」
まだ悩んでいるゴートを横目に、
P型センキー・ゼロオーダーは、
「舞い散る閃光と彷徨う冒涜の調和『P型センキー・ゼロオーダー』と、究極超天使『テンドウクスオ』……その二翼を率いる最強のラスボス『ゴート・ラムド・セノワール』……なかなかいいパーティになってきた……そう思わないか?」
「……お前は、リーンをさらい、拘束した。そう簡単に、お前を信じるわけには――」
「傷つける気は一切なかったし、実際にかすり傷一つつけていない。お前を本気にさせるための手段に使ったことは謝罪しよう。しかし、このクリスタルは、酸素カプセルみたいなもんで、中に入っていれば、睡眠不足と疲労がとれる。感謝されることはあっても、非難されるいわれはない」
「あのクリスタルが本当に酸素カプセルだったとしても、さらって、むりやり詰め込んでいるんだから、非難されるいわれは充分にあるだろ」
「では、どうする? その心臓を握りつぶすか?」
「……」
「俺を使え、ゴート・ラムド・セノワール。そして、究極のラスボスになれ」
「……お前の命令を聞く気はない……けど……条件は決して悪くない……」
そうつぶやいてから、
「少しでも不穏な動きを察したら、その場で殺す……いいな」
「なんの確認だ? 俺はずっと、好きにしろと言っているだろ」
こうして、結成された、とんでもない狂気をはらむ『ラスボス軍』。
驚異のEXレベル&無限チートという絶対狂気『ゴート・ラムド・セノワール』
千兆規模の軍を有するマエストロ、究極超天使『テンドウクスオ』
【舞い散る閃光の複製】×【彷徨う冒涜の影】『P型センキー・ゼロオーダー』
圧倒的な戦力となったラスボス軍!!
そんな過剰戦力を有するラスボス軍の明日はどっちだ?!
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