第1075話 ショデヒの理想。
(ラムドは最強の暴力装置。すなわち、ラムドを持つ国が最強。つまりは、魔王国こそが最強)
龍の国、妖精の都、鬼の里、魔王国。
同じ魔人・進化種でありながら、国によって、考え方はまったく異なっていた。
『龍の国』は、質素な現状維持を求めた。
『妖精の都』は、血を流さない豊かさ・華々しさを求めた。
『鬼の里』は、独自文化の永続継承を重んじた。
それら、思想の方向性がまるで違う全ての国の魔人や進化種の上に立つ『王』の存在が不可欠だった。
最初、ショデヒは、自分が王になるつもりでいた。
だが、ショデヒには、この巨大な南大陸を完全に束ねるだけの『力』はなかった。
ショデヒは、決して無力ではないが、
『南大陸を完全に束ねる』というミッションを遂行できるだけの力はなかったのだ。
もちろん、『絶対に不可能』ではなかった。
ショデヒは『何も出来ない無能』じゃない。
ショデヒが、全てを賭せば、南大陸に『連合国』をつくる事は出来ただろう。
現在と同じように、『重職につく者達』を巧みに操り、
『フーマー以外の人類国家』に対する『最大勢力』をつくり上げる、
――それだけなら、決して不可能ではなかった。
世界2位の力を持つ『南大陸連合国』の『議長』という地位までなら、
ラムドがいなくとも、辿り着く事は出来ただろう。
――だが、そのポジションは、ショデヒの本意ではなかった。
彼が望んだのは、実質的な世界の支配者。
完全なる統治、絶対の規律に縛られた魔王軍の形成。
どこの誰にも文句を言わせない完璧な独裁体制。
フーマーをも飲み込んだ、文句なしの世界征服――それが、ショデヒが望む未来。
(ラムドがいなければ、どうあがいても、フーマーは食えなかった……どう頑張っても、二位が限界だった。ラムドがいなければ、『フーマーのご機嫌伺い』兼『厄介な魔人どもをまとめる委員長』というポジションが限界だった。しかし、ラムドの力があれば、フーマーを潰す事も可能。それだけの絶対的な力があれば、小賢しい民衆や元老院を黙らせることも容易。可能になるのだ……完全なる独裁が――私のためだけの世界が)
ラムドの召喚能力はハンパじゃない。
勇者を殺せるほどの力。
単騎でも、フーマー以外の『全ての国家の王族』と渡り合えるほどの力。
それだけの力が主軸にあれば、
フーマーを潰す事も不可能じゃない。
フーマーさえ潰せれば、
魔王国が天下を獲れる。
フーマーを抑えて天下を獲れる力があれば、
『イカれた無茶(絶対独裁)』を通す事も可能となる。
(ラムドが、フーマーの上位戦力を消してくれれば、もはや、怖いものは何もない。最高の結末は両者の相討ちだが、別に、そこまで理想的な展開になってくれなくとも、フーマーとラムドがぶつかれば、確実に、両者とも疲弊する……どっちが勝とうが、残るのは死にかけのエサ。あとは、肥大した魔王国の軍で、両者とも飲み干す事ができる。大事なのは、私が、その時の総大将についていること)
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