第1046話 彼の出番。
「ははっ……『究極真奥義』なんて大層な名前だから、いったい、どれだけ強力な技なんだろうと期待したんだが……結局のところは、ちょっと小マシな分身か。安い、安い。……あえて言おう。しょうもないんだよ!」
そう言いながら、セン仮面とエースロボをボッコボコにしていくP型センキー。
センの本気を積んでいるため、どちらもハンパなく『ステの数値は高い』のだが、
しかし、とてもじゃないが、『P型センキー(究極超神化7)』には勝てそうもない。
決定的過ぎる戦闘力の差が痛すぎる。
「くっ……強い……」
「まさか、俺たちが手も足も出ないとは」
二人(セン仮面&エースロボ)がそう嘆いていると、
それまでは、後方で静観していたモンジンざえもんが、
「私の出番のようだな」
そう言いながら、威風堂々と、
セン仮面とエースロボを押しのけて、P型センキーと対峙する。
そのどこまでも超越者然とした背中は、
センたちに、あふれんばかりの勇気を与えてくれる。
「と、とんでもない気迫だ……」
「期待して……いいんだな?」
「頼んだぞ、モンジンざえもん。『俺たちの道は、こんなところで終わっちゃいない』ってことを、あのクソ野郎に教えてやれ!」
センたちの期待を一心に背負ったモンジンざえもんは、
「吠えるなよ、ヒーロー。黙ってみていればいい。それで……すべて終わる」
しびれる一言を残しつつ、
P型センキーの目の前まで歩みを進めると、
そこで、ピタっと歩を止め、
一度、ニヒルに、
……フっ、
と微笑んでから、
泰然かつ超然としたオーラを放ちつつ、
――クルっと反転し、
腰に携えていた剣を抜いて、ビシっと構えながら、
『センたち』に向かって、
「さあ、P型センキー様にさからうブタ野郎ども。どこからでもかかってこい」
などと言い放った。
「「「ふぁっ?!」」」
いっそ清々しいほどの、鮮やかな裏切り。
職人芸を見せつけてきたモンジンざえもんに対し、
センたちは、
「き、貴様ぁあ! 寝返りやがったな!」
「みそこなったぞ!」
「もどってこい!」
「ことわる。私は常に強い者の味方だ」
「「「ざけんじゃねぇ! この卑怯者がぁ!」」」
「黙れ、カス共。『卑怯は敗者の言い訳』という『エロい人の言葉』を知らんのか。教養の足らんブタ共め。さあ、P型センキーの兄貴、一緒にあのゴミどもに引導を――ふげっ」
言い終わる前に、
P型センキーから、背中に蹴りをもらって吹っ飛ぶモンジンざえもん。
「足手まといはいらない」
冷たく言い捨てるP型センキー。
心底軽蔑している目。
さすがのP型センキーも、モンジンざえもんを味方につけるのだけはイヤだったらしい。
――センたちの目の前まで吹っ飛んだモンジンざえもんは、
当然のように、
「なに、裏切ってんだ、このぼけぇ!」
「ブタ野郎はテメェだろ! 恥を知れ!」
「おらおらおらぁあ!」
ボコボコにされた。
「ぷぎーっ!」
あらかた、ボコり終え、
だっせぇ断末魔が響き渡った直後、
「けっ、このブタが。消えてろ」
モンジンざえもんの体が、空間に溶けるようにスゥと消えた。
それを確認すると、
センが、
「よし、これにて儀式は全て終了。さあ、ここから本番だ。気合入れていくぞ、セン仮面、エースロボ」
「まかせてくれ、俺のセンビームは全てを無に還す」
「俺のエースパンチは無敵だ。あんなカス、ワンパンよ」
『裏切ったモンジンざえもんをボコボコにした』ことで、
両者は、それぞれ『最強の固有技』が使えるようになった。
ずいぶんと手間のかかる準備だったが、
整ってしまえば、もはやなんのデメリットもない。
ここからのセン仮面とエースロボは最強のオプション。
「センビィイイムっっ!!」
「エースパァンチッッ!!」
セン仮面は、究極超火力の異次元砲を放ち、
エースロボは、究極超火力かつロケットパンチ型になった閃拳をぶち込む。
セン仮面&エースロボは、絶妙な距離から、
センビームとエースパンチを放ち続け、
『近距離でP型センキーに削りをいれているセンエース』を全力で援護する。
(ちっ……なんだ、そのイカれた火力……)
とても分身が使っているとは思えない、
凶悪な性能の『異次元砲』と『ロケット閃拳』。
そのハンパではない熟練度は、なんと、センの『ガチ本気(マジ)』を超えている(最大出力では流石に本体を超えられないが、異次元砲とロケット閃拳の熟練度という一点だけを見れば、二人とも、本体のセンを超えているのだ)。
気が遠くなるほど長期にわたる狂気的鍛錬と、
ありえないほど尖りに尖ったアリア・ギアス、
その両方を積まないと実現不可能な、圧倒的デストロイオプション。
(なるほど、そういう技か……究極真奥義……たんなる出オチの一発ギャグかと思ったら……ずいぶんと狂ったスペックのオプションじゃねぇか……カースソルジャーなんかと同じで、直接戦闘ではなく、固有技能が強力なタイプ……)
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