第1015話 オラ、ワクワクすっぞ。
「――ソルエンジン、起動。モード『フィクシード・エンプティ』――」
コアオーラをフル回転させているP型センエース2号。
爆発的に膨れ上がっていく。
バチバチと、電流を放ちながら、
深みのあるオーラに包まれるP型センエース2号。
「はあぁぁ……」
と、一度、深く息を吐いてから、
「さぁて、ゼン……こちらとしては、そのまま、黙って突っ立っていてくれると楽でありがたいんだが……どうする?」
問われて、
ゼンは、
(ここがドコかはサッパリ分からないが……分かる事が一つだけある)
おもむろに、自分の両手を見つめつつ、
(使える……ここでなら……なんの問題も制限も嫌がらせもなく、俺の、まっすぐな全力が出せる……)
『それ』を正式に理解すると、
ゼンは、
キっと、強い目で、
P型センエース2号を睨みつけ、
「実は、お前を始めて見た瞬間から、ずっと……俺の奥にある塊が、『お前を超えていけ』とやかましくて仕方ないんだが……なんなんだ、これ……マジで、すげぇうるせぇ……」
その発言を受けて、
P型センエース2号は、
フっと、小さく微笑んで、
「……そうだよな。お前もセンエースだもんな……だったら、まあ……『それ以外の道』は『ない』わな……」
そうつぶやいてから、
クっと顎をあげ、
キュっと視線を絞ってから、
「俺(ソル)を前にしたら、黙って突っ立ってはいられない……お前の、その情動、受け止めてやるよ」
グンと、さらにオーラを加速させた。
見間違えようのない戦闘態勢。
それを受けて、ゼンは、
「これは別に、どっかの身勝手なサイヤ人のモノマネって訳じゃないんだが……どうしても我慢できないから、言わせてくれ」
「お前が今、何を言いたがっているか、おおよそ見当はつくが……まあ、だからといって邪魔はしないさ。好きに歌え」
「今、俺は、すげぇワクワクしている……正直、俺は、今までずっと、『予選のダンジョンで手に入れた力』を試す機会をうかがっていた。頭のどっかで、いつも、ゼノリカの誰かが奇襲にでもきてくれないかとずっと思っていた……」
プツプツと湧き立つ鳥肌。
脳汁が溢れて、全身が熱くなる。
「なんせ、あまりにも異常に強すぎるから、そうそう自由には使えねぇ……けれど、この圧倒的な力を、どこかで、フルに使ってみたいと、俺は、ずっと願っていた……」
タンッ、タンッ、
と、体をほぐすように、片足ジャンプをしつつ、
「あんたになら、たぶん、使っていいよな? 特にハッキリとした理由とかはないんだけど、なんか、あんたになら、無茶をしてもいいって気がする。なあ、いいんだろ? まあ……ダメだって言われても使うけど。何がどうとは言えないけど、あんたは放置しておくとヤバそうだから」
「好きにすればいい。というか、さっき言ったばかりだろう。聞いていなかったというのなら、もう一度言ってやる。今から、俺が、お前の情動を受け止めてやるから……さあ、かかってくるがいい」
許しを得て、
ゼンは、
一度、深呼吸をしてから、
「――アスラ・エグゾギア‐システム、起動!!」
宣言すると、
ゼンの全てが、『殺戮の神』に包まれた。
この世の全てを殺さんとしている、狂気的な威容。
フッキと融合した完全状態ではなく、
素のアスラ・エグゾギア。
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