第702話 白熱する会議。


 そこは、『世界の中心』を彷彿とさせる場所。

 『ゼノリカに所属する者の中でも上位17名』しか足を踏み入れる事が出来ない創玄神層。

 通称『神聖域』の最奥。

 主により直接『桜華堂』と名付けられた、裏ダンジョン『ゼノリカ』の最奥にある大講堂。

 荘厳さを感じさせる、シックな宮殿。

 極彩色の絵画で飾られた堂内。

 天井や柱は、抑えめな色だが、それでも比類なき美しさで満たされている。



 その中殿に位置する『主の間』。

 十七の柱に支えられた広間。

 無数に並ぶ軍配形の窓から注がれる柔らかな太陽光。

 朝焼けの輝きで満たされている、朱を絡めた金色の空間。


 その荘厳な広間のど真ん中にある、17人用の円卓に、6人の男女が腰かけていた。

 そして、それぞれの背後には、8人の男女が立っている。

 座っているのは、ゾメガ・平・ミシャの三至と、五聖命王の三姉妹。

 立っているのは、九華の面々。


 朝っぱらか集まって行われているのは、『対D型』に関する緊急会議。

 様々な要因から、会議は白熱しており、


バロール「――もし、D型とかいうカスが、P型と同じスペックを有していたとしたら、我々では太刀打ちできないのではないか?」


カティ「だから、なに? 全部、主に丸投げしろって?」


バロール「誰もそんな事は言っていない! 現実的に、『われわれだけでは対処する方法があまりになさすぎる』という『大問題の解決策』について論じようとしているだけだ! 我々は主のように、『果てなき武』を有していないのだ! その現実から目をそむけて、ただがむしゃらに『頑張ります』と喚き続けても、根本的な解決には一歩も近づかない!」


サトロワス「……P型を送り込んできた『謎の勢力』は、おそらく、『主の能力の一部』をコピーできる異次元テクノロジーを有している。あの強大な力……我々だけで対処する方法は……まあ、ないだろうねぇ」



 ゼノリカの中では、既に、『P型は単独犯ではなく、何らかの組織に属する先兵だったのだろう』という判断が下されていた。

 また『1号という名称から、2号や3号がいる可能性も考慮すべきだ』とも。


アルキントゥ「超々々々々々ハンパな劣化コピーとはいえ、主の能力を再現できるとなると、我々では勝ち目がありませんわねぇ。主の御力は偉大すぎますから」


バロール「ハッキリ言うが、劣化とはいえ、主のコピーに勝てるのは主だけだ。主は、そういう場所におられる。われわれは、サポートくらいしか出来ない。これは、投げているワケではなく、現実問題、それしかないと言っているんだ。そして、そんな小さな仕事しか出来ないのであれば、せめて、少しでも、お役にたてるよう、精いっぱいの努力をすべきだと提案している」


カティ「で、その『精いっぱい努力』の内訳は?」


バロール「主の負担を減らす全てだ。特に『コレ』というのではなく、我々にできる全て」


サトロワス「となると、『強くなる』というのが、やるべき努力のトップだねぇ。サポート用の魔法を使うにしても、タメ技の時間稼ぎをするにしても、弱くて良い事は一つもない」


テリーヌ「もしくは、D型とやらが暴れた時、その余波で被害が出ないようにするとか」


パメラノ「禁域以外に出現した場合を考慮すると、必要な処置じゃな」


ジャミ「その辺は、災害マニュアルをそのまま用いる事が出来るだろう」


バロール「新しいマニュアルが必要不可欠だ。我々は、以前とは比べ物にならないくらい強くなった。出来る事の範囲は爆発的に増えている」


テリーヌ「そうね。どうやら、主の加護が得られる私たちは、禁域以外でも、神の力の一部が使えるみたいだし」


 『究極超神化7』を会得したことにより、センのスキルに『絶対神の庇護(現世における、『神の制限』を緩和するシステムを、配下に付与することがきる)』というチートが加えられた。


 完全に開放されるわけではなく、当然のように制限がかかり、存在値も縮小されるが、これまでとはくらべものにならないほどの力は行使できるようになる。


 ゼノリカの進化は止まらない!!


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