第690話 加速するP型センエース1号。
「掴めてきたぞ、神闘……原理が見えてきた……」
ふいに、ボソっと、そんな事を呟いたP型センエース1号。
その発言に対し、
シューリは、思わず普通にムっとして、
「……ふざけたこと言わないでもらいたいでちゅねぇ……こんな短時間で神闘が理解できるワケ――」
「俺を常識ではかるんじゃねぇ。俺に限っては常に最悪を想定しろ。俺は、常に、その最悪の向こう側にいる」
ここまでは、『それなりに強い者』と闘ってきたから、
P型センエース1号の成長速度も『それなり』だった。
九華十傑も、五聖命王も、三至天帝も、決して弱者ではない。
みな、確かな強さを誇っている――が、
しかし、所詮は、まだまだ発展途上の蕾。
『天上の面々から学べた武』は『現闘の限界点付近』までが精々。
この先、ゼノリカは、徐々に神闘を理解していくだろうし、
その時のゼノリカは恐ろしく強大になっているだろうが、
今のゼノリカは、まだまだ『究極集団』とは言い切れない苗木。
それと比べ、シューリは巨大な大木。
最強神センエースが、『己の師』だと認める、神闘の極意を知る女神。
シューリ・スピリット・アースは、圧倒的な力を持つ女神。
ゆえに!
P型センエースは、『圧倒的な速度』で強くなれる。
「神闘に対する理解――この『気付き』は、俺を強く推動させるだろう。ここから、俺は、加速度的に強くなる。お前を超える『臨界点』は、そう遠くない!」
その言葉はただのハッタリではなかった。
P型センエース1号は、そこから、恐るべき速度で強くなっていく。
そんな、『本当に神闘を理解しはじめてきたP型センエース1号』を見て、
シューリは少し焦り、
「た、確かに、異常な成長速度でちゅねぇ……けど、オイちゃんを殺せるレベルにはなりきれていまちぇん。そして、あんたが、その領域にまで辿りつく事はありまちぇん。その前に……必ず殺しつくしてみせまちゅっ」
シューリは加速した。
P型センエース1号を殺しつくそうと、
そこから、ずっと、最善を尽くした。
けれど、
(……ま、まずい……追いつかれる……っ)
「おい、シューリ! それ、もう本気だろ! ははは! どうだ! まだ俺の方が弱いが、しかし、もう、すでに、俺はお前の本気を引き出した! そろそろだ! そろそろ俺はお前を超えるぞ!」
「……っ」
シューリは間違わなかった。
何一つミスは犯さなかった。
――延々に、どこまでも、際限なく、最善手を打ち続けたシューリ。
ついには、
「っ……究極超神化5!!」
最高最大最強の切札を投入する。
極限まで磨き上げられた神髄を見せる。
アダムとの訓練で、発動までの時間短縮に成功した究極超神化5。
性能も強化されており、今のシューリは、以前よりもはるかに強い。
まだ、『究極超神化6』は使えないが、その背中は見えてきている!
そんな、シューリの本気を目の当たりにして、
P型センエース1号は、
「ああ! お前の強さを前にして、俺は絶望している! なんという高み! 見あげてしまう! だが、だからこそ湧き上がってくる! いまだに! むしろ、強く輝く! 見ろ、シューリ! これこそがセンエースだ! そうだろう!」
心底からイラっとした顔をするシューリ。
彼女がブチ切れるよりもはやく、
シューリの視界に、アダムが割り込んできた。
「貴様、あまりにも不快が過ぎるぞ……」
アダムに、ガツンと後頭部を殴られ、P型センエース1号の首は炸裂した。
完全な死!
だが、すぐさま無限転生が発動!
蘇ったP型センエース1号は、
「ここから2対1か? かまわねぇよ! 全部、のみこんでやらぁあ!」
強大なオーラを放っているシューリとアダム、その両方を睨みつけて叫んだ。
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