第618話 二度目の、モナルッポVSウルトラバイオレット・ゼロゼロナイン。
モナルッポは、UV9を完全に理解した。
この存在は完全に狂ってしまっている。
『生命を超越してしまうと、こうなってしまうのだろうか』なんて一抹の不安を抱きながら、同時に決意する。
「人類にとって、お前は害悪でしかない。超魔王ウルトラバイオレット・ゼロゼロナイン。俺は、お前を殺す。人類の未来を、この手で奪い取る」
突撃するモナルッポ。
マシンゴーレムが唸りをあげる。
アンドロメダにかました一発よりも重い渾身の一撃。
それを、爆発的な衝撃とともに受け止めるUV9。
ギリギリッッ!
と、鉄と肉が激しく軋む音は響く。
モナルッポに魔力を注がれて躍動するマシンゴーレム。
セレーナたちは、支援魔法等の出来うる全てを賭して、モナルッポを援護する。
そんな『必死の抵抗』を、UV9はあざわらう。
「存在値80ちょっとが駆るマシンゴーレム一機……その程度の対処もできないで、神を目指すなんて言わないさ」
UV9がくりだす一手一手の初動に加速がくわわった。
アンドロメダのように変身したというワケでもないのに、UV9の『存在感』が一気に膨らんだ。
「高みを知れ」
UV9の拳が、マシンゴーレムの腹部を貫いた。
パーツが砕けて、破片になる。
損傷率が一気にはねあがり、モナルッポの視線、モニターが真っ赤になった。
ビービーと鳴る警告音。
「くそ! くそ! くそぉお! 負けてたまるかぁあああ!」
全オーラを集結させて、モナルッポは叫ぶ。
「マシンゴーレム! 今、俺にひねり出せる魔力とオーラを全部やる! だから、お前の全部をくれぇええ!」
その叫びに共鳴するように、
『――【マイクロ・サイコジョーカー】を起動します――』
マシンゴーレムが解放される。
となれば、当然、
モナルッポの精神に、
「うぷっぐおぇえええええええええ!!」
おぞましいほどの圧迫がかかる。
頭がおかしくなりそう。
全身の細胞すべてが狂ってしまいそうな、この途方もない地獄の中で、
「う……う、うぅううううう!! ああああああ!! ぃ、イカれたクズ野郎ぉがぁああああ! 死ねよぉおおおおおお!!」
全身がバラバラに解体されているかのような感覚に耐えて、モナルッポは、UV9に突撃する。
なんの技術も計算もない、たんなる捨て身タックル。
ただ、爆発的に加速させて、突っ込むだけ。
思考なき一手。
しかし、それは、
「ぐぉおおおおお!」
強大なインパクトを産んだ。
途方もないエネルギーの収束。
結果、
「がっはぁあああ!!」
白目をむいて血を吐きだすUV9。
「……う……っ……」
UV9は、そこで、グタっと、気絶して動かなくなった。
その直後、強制機能停止して『ただのガラクタ』になったマシンゴーレムから、放り出されるように排出されるモナルッポ。
気絶してしまったモナルッポに駆け寄りながら、パルシュとユーイが、
「すげぇぞ、王子! 産まれてはじめて他人を尊敬したぜ!」
「そのセリフ、今日だけで三度目。けど、わたしも同意」
「素晴らしい! 本当に! 敬服するわ!」
と、そこで、パルシュが気付く。
「おい、あのクソ魔王、まだ生きてんぞ! トドメをさしてやる!」
そう言いながら、パルシュは、気絶しているUV9のもとまでダッシュして、とりだした刃物でUV9の首を刈ろうとするが、
「ぐっ……かってぇ……マジかよ」
キィンと弾かれる。
恐ろしく硬質なボディ。
その様子を見たセレーナが、
「おそらく、魔力バリアを展開しているのね。気絶したら発動するアイテムでも装備しているのかも」
「指輪とかならともかく、体内に埋め込むタイプだとどうしようもねぇな」
「逃げるしかない。残念」
「ちっ、くそったれ。チャンスだってのに」
いいながら、パルシュは、気絶しているモナルッポを肩にかつぐ。
そして、その場からとっとと逃げ出した。
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