第566話 2000万匹の究極超神級モンスターを倒し続けた結果。
何を言われたのか、一瞬、理解できずに頭が混乱した。
『2500日』――時間に換算すると60000時間。
倒したモンスターの数に換算すると、
『2000万』体。
「それも、『そこが限界だった』と言うワケではなく『これ以上やっても意味がない』と判断して『降りただけ』らしい」
※ イチローが、『これ以上はバッティングマシンで練習するのは意味がない』と悟ったのと同ベクトルの感覚を、センは、この訓練施設で積んだ果てに抱いた。
『下地』を創る上では大きな意味があるが、『そこから先』になると、この訓練では適切な成果を得る事は出来ないというハッキリとした気付き。
魂魄を回収できるので無意味ではないが『魂魄を回収するだけ』なら、効率のいい方法が、他にいくらでもある。
ちなみに、何度もいうようだが、
この記録は、『神の能力』を持っているから達成できたというワケではない。
10秒ルームにおいて、存在値の大きさは、決して『関係しない』というワケではないのだが、しかし、最も大きな影響因子というワケでもない。
その証拠に、『表層の神』は、バロールたちより遥かに低い記録を出す者ばかり。
深層でも、バロールたち以上の記録を出せるものはそういない。
まだまだ未熟で発展途上の真っただ中にいるバロールたちと比べれば、高次に完成・成熟している分『かなり有利』な『上位の神々』であっても、なかなか『数千時間』以上の記録は出せない。
『真なる神(1兆以上)』の領域に辿り着いた者の中でも、1万時間に達する事ができるような者はいない。
あの『究極超神ソンキー・ウルギ・アース』ですら、通常倍率で2万時間前後が限界。
ソンキーは、上位の神々の中でもぶっちぎりに飛び抜けた存在であり、センから正式にライバルであると認められているほどの元最強神だが、そんな彼ですら、『気付き』にも届けないレベル。
ソンキーの精神力は狂気の領域にあり、かつて、あのセンをして、『お前、異常だぞ。頭おかしい』と言わしめたほど。
ただ、ソンキーから言わせれば、『どの口が言うとんじゃい』という話でしかなかったわけだが。
※ 2万時間という数字は、世界進化前の『完成度(能力・精神力)』を元にした推定でしかないため、『今』、実際に、10秒ルームを利用した際にどれだけの記録が出るかは不明。
ちなみに、ソンキーは、モタモタしていたシューリと違い、世界進化直後にすぐさまコードゲートをインストールして、とっとと限界突破し、今も、ひたすらに、やすむことなく、果てなき階段を上がり続けている。
センエースのライバルは伊達じゃない。
――『倍率10倍で2500日』というセンの記録を耳にし、そして理解したカティは、
「は、はは……」
小さく笑った。
脱力する笑い。
つまりは、失笑。
この感覚は、聖典を読んでいる時のアレに近い。
「あーそー、はい、オッケー。神帝陛下は、倍率を上げた上で、2500日ね。はいはい」
いつもの元気がないというより、重たい溜息に引っ張られて声がかすんでいる。
「ていうか、なんだか2500って数字は切りが悪いから、いっそ3000にしたら?」
『わかった、わかった』『もう好きに言ってろ』『まともに聞いて損した』とでも言いたげな、どうにも冷たく歪んだ呼吸のリズム。
明後日を見ているその視線に熱は微塵も感じられない。
カティに同調する訳ではないが、バロールも溜息まじりに、
「ジャミ……流石に、それは……ウソ……じゃないか?」
続いて、サトロワスが苦笑いで、
「ウソというか、パメラノ殿が盛ったんだろうねぇ。あの人には、ちょっと、そういうところがあるからさぁ」
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