第462話 だから言ったろ? 俺はヤバいって
「いい加減、俺のヤバさが理解できただろ? というわけで、さあ、さっさと――」
「悪いのは、警告を聞かなかったあんた自身」
いつまでも『こんなの』の相手はしていられない、という投げやりな態度で、
「……死んでろ。光矢ランク10」
そう言って、右手の手の平を上に向けて、そこに、三本の浮遊する『光の矢』を生成する。
光の矢は、その鏃(やじり)を、センたちに向けると同時に、
ヒュンと空気を切り裂いてセンたちに襲いかかった。
ランク10の魔法は、この世界だと神の領域。
勇者でも、一撃で死ぬ可能性がある脅威の魔法。
――が、
「ぇ」
三本の光矢は、全て、
三人の体に届く前、見えない壁に吸収されてしまった。
(……な、なぜ……なにが……)
訳がわからず、混乱していると、
「だーから言ったのに……俺はヤバいって」
ボソっとそんな事を言いながら、センは、ゆっくりと歩を進めて、
「このナイフ。解放したばかりの『ヴィトゲンシュタインのアトリエ』の『おためし』で創っただけだから、見た目は手抜きっつぅか、すげぇ簡素だが、クオリティの方は1600を超えているという、現時点では、これ以上のクオリティを誇るアイテムなんざ神界の深層を探しても存在しない、究極超神器の中の究極超神器だぜ? これをチラつかされたら、いっぱしの超神でも裸足で逃げ出すっつー極悪な代物だ」
そのナイフの切っ先を、ダーキニィ・シャドーに向け、
「これを前にしても余裕をぶっこいていられた、お前のその豪気さだけは褒めてやってもいい……まあ、だからって逃がしゃしないがね」
スっと、横にないだ。
すると、
ザザザザザザンンンッッ!
と、ダーキニィ・シャドーの全身が一瞬で細切れになった。
骨も肉もミンチになって、けれど血は蒸発したため、飛び散りはしなかった。
「お見事でございます、主上様」
「虫を踏み殺したくらいで褒められてもな……」
センは、アダムにそう言葉を還しながら、即座に、ダーキニィ・シャドーの魂魄を回収し、目の前で再構築する。
二秒ほどで、細切れになる直前の姿でセンの前に出現するダーキニィ・シャドー。
結果的に、『彼女が持っていたもの』は、
命を含めて、『すべて』がセンに奪われた。
そんな『センによって再構築された彼女』に、センは、
「悪いが創り直させてもらった。お前の目を気にして動くのがタルかったんでね。というわけで、お前に厳命する。本体からの帰還命令がくるまで、この辺をウロウロしながら、本体への定時連絡時には、テキトーに、問題なしと言っておけ」
そう命じると、
「……かしこまりました」
ダーキニィ・シャドーは虚ろな目でそう返事をして、その場から立ち去っていった。
その背中を追う事なく、センは伸びをしてから、
「さーて、それじゃあ、俺らもクジをひきに行きますかねっと」
言いながら透明な仮面を装着するセン。
続けて、背後にいるアダムとシューリも同じタイプの仮面を装着する。
その瞬間、顔つきや体格や声、全てが別人に変化した。
変装用の究極超神器『ペルソナX』
高位のプロパティアイでなければ見抜けない仮面。
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