第202話 百倍プッシュだ。フルバグチートで行こう
センの頭が、無数の未来を描く。
効率を求めながら、どこかで『非効率と共にありたい』と願う、謎の自分が顔を見せる。
流石に『無駄な時間がかかりすぎる』ので、スライムを延々に狩るようなバカなマネはしないが、少しばかりの『センにとっては楽しい遠回り』は受け入れるつもりでいた。
(単なる経験値の最効率回収を求めるなら、善属性の魔法を犠牲にする構えで、この世界にいる連中を全員殺し、アンデッド化させてから、俺と接続させて、延々に殺し合わせるのがベスト……だが、そういうのは、俺のポリシーに反するんでね。……効率は大事だが、それだけじゃダメ……かといって、ただの非効率は問題外……難しい……けど、このバランスを考えるのも……すげぇ楽しい)
最初の村でスライムを2000万匹倒し続けたのは、『そういう性格だった』というのもあるが、『それ以外の方法を知らなかった』というのも理由の一つだった。
今は違う。
あらゆる方法を知っていて、かつすべて『実行可能』でもある。
(ただギチギチに最効率を求める必要はないにしても……スパっと強くもなりたい……さて、どうする……)
センは、頭をフル回転させる。
(理論上の最効率手段から考えていって、そこから、好きなメソッドだけを並べていくのがベストか……理論上の最高値だと……GLは、『レベル(レベルとだけ表記した際はGLではない普通のレベルです)』がひくければ低いほど効率がよくなるから、レベルを下げた方がいい)
GL経験値は、レベル1の時の方が、レベル1000の時よりも遥かに多く稼ぐ事ができる。
ただ、レベル1000の時の方が、レベル1の時よりも出来る事が多いので、一概には言いきれないという点もある。
(レベルを下げた方がいいのはいいんだが……GLの振り直しと違って、『レベルのコントロール』って、根本をいじるから、色々、めんどうくせぇんだよなぁ……体をならすだけでもタルいし……外殻レベルは変更できても魂レベルは変わらねぇから、実際は、ブーストもほとんど乗らないし……うん、却下だな……)
レベルを下げる方法はいくつかあるが、どう考えても、対価が見あっていない。
(実際、『もっとも効率がいい』のは、『本当にレベルが低かった時の俺で修行を積むこと』……なんだが……はっ、こんなもん、なんの意味もねぇ妄想だぜ。ガチ低レベルの時は、魂魄処理機構の質が低すぎて、GLのディスポなんかできねぇ)
ゴミ以下の空論。
けれど、楽しい妄想とはそういうもの。
ゆえに続く、無駄思考の飛躍。
(……『今の俺を司っているシステム』と同期させた、転生直後の俺……が、理論上、最強に経験値を稼げる状態だな……くくっ……バカな妄想だ……そんなもん、無…………ぃやっっ!!!)
――その時、
センに電流走る。
「そういえば、この時空って、中三の俺がいんじゃん」
『違う世界線』の異次元同一体なら、この世界に留めていられるのは80秒が限界だが、この時空に存在している自分なら話は別。
転移させてしまえば、制限はなくなる。
「く、くく……うぉおお! この案、おもしれぇえええ!」
センは、天を仰いで叫んだ。
「中三の俺を、この世界に転移させて、経験値を積ませて、とことんまで強くなってもらってから融合する!! さいっこうのプラン! この計画でなら、これから先の経験値取得率は10倍……いや、かるく100倍くらいはあるか?!」
同時進行で、もう一人の自分(ブーストつき)が経験値を稼いでくれれば、加速度的に強くなれる。
極限を超えて、次元を超えて、もっと、もっと、もっと、果てへ!!
「……『これ』は、『このバグったような状態』じゃねぇとできねぇ究極のチート技! いいねえ! ただでさえチートな俺が、さらにバグチートを使って、掟破りの100倍強化だドン! はははははは! えっぐぅう!」
思いつくとほぼ同時、センはさっそく、
「よーし。さっそく準備といこうか。くく……いやぁ、笑えるじゃねぇか。相当の勇気が求められる狂気の沙汰……しかし、だからこそ面白い!!」
ニっと笑って、
「さあ、ここからは……中坊の自分を相手に、神様ごっこだ」
ハッキリとそう口にしてから、
「……しかし、自分を相手に神様ごっこって……字面がヒデぇな」
ボソっとそう言った。
――この物語は、神様になった主人公が、日本人を召喚してチートを与えるお話――
補足します。
この物語は、神様になった主人公が、日本人(中学三年時の自分)を転移させてフルバグチートを与えて超速で強化させてから合体することで、さらに果てなく強くなろうとする……そんなお話です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます