第12話

『受験まであと 77日!!』

黒板に馬鹿みたいにどでかい字で書いてるせいで全く授業に集中できない。授業を受けている時間が勿体ない

やっと学校から帰ってきた。外がすごく寒い

今は12月、雪もしんしんと降り始めてきた。

受験勉強が予想以上にうまく進められてない、実際に偏差値が足りなすぎて行きたい高校を変えることになった。

最近は体調もあまり良くなくて、学校から帰ってきたら毎日ベッドに倒れこんでしまう。夜は熱が出てることもたまにある

でも学校には何が何でも絶対行く、流愛と会えるならなんだってする。

それでもこんなに体調不良が続くと流行病にかかってしまったのではないかと毎晩不安になる。病院に行くのが安全だと思うのだけど、なんてったって親に体調が悪いことを言っていないから言わないと始まらない。


少し前までは、僕自身が自分の親のことを毒親なんじゃないかと思っていたが今ではその感情は薄れつつあった。

子供の友達関係には口を出してくるし、遊んだらいけない子も親に決められてた。言われたことを100%できてないと怒鳴られたり貶されたりということもたくさんあった。

でも、もし僕の親も僕みたいな感情を子供時代に持っていたとしたら。僕と同じで親に従うしかできない無力さを感じていながら毎日を生活していたと考えたら、

僕はもう、誰にも怒りを覚えることができなくなってしまった。だって悪いのは僕の親だけじゃないから、悪いのはじいちゃんばあちゃん、もしかしたらひいじいちゃんたちかもしれない。

…だから、僕は将来は絶対子供なんて作りたくない。この負の連鎖を終わらせるために。たとえ、自分がされてきたことを絶対自分の子供にはやらないと思っていても、このくらい大丈夫と思い込んでいつの間にか辛い思いをさせてしまっている未来が見えてしまっているから。

こんな自分が親になってしまったら、その子供がかわいそうすぎる。

だから、異性との結婚もしたくない。一人で生きていくためにはちゃんと稼げる職につかないといけないのに、

自分の今と明るい未来のためにやらなければいけないことを照らし合わせた時、ベッドでうずくまっている自分が憎く思ってしまう。

本当は頭のいい学校に行かないといけなかったのに…

不登校にならなかっただけ褒めてほしい、って思ってしまう自分も憎い。

全部が憎い、憎くて憎くて仕方がない。

でも、どんなにこの感情が大きくなったって問題が解決するわけでもない。

…できることからやっていこう。

そう心に決め、熱が出ませんように。と祈りながら眠りに落ちた。

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