第5話 勇者は姫のために魔王のコーデを一緒に考えます

そんなこんなでザムザとコティリア姫を会わせることになったのだが…



「おーいそろそろ息してくれ?」

 

「………」


『返事がないまるで屍のようだ。』


このセリフをまさか魔王に使うとは思わなかった。


「おぉ魔王よ死んでしまうとは情けない」


「………カハッ!!!!!」


蘇りの呪文によりザムザが目を覚ました。てか本当に死んでたのかこいつ。


「……俺は、一体、はっ!!そうだコティリア姫との結婚式!!」


「まだそこまで行ってないだろ」


呪文がしっかり効いてないのか記憶があやふやなザムザに俺はもう一度説明した。


「だから今回の俺の不手際によってお前らを会わせようと思うんだがお前、その顔で会うのか?」


気持ちはわかるが鼻の下が思いっきり伸び切っていて魔王の威厳の欠片も見当たらず今はただのえろ親父にしか見えん。

こいつをコティリア姫に会わせてよいのだろうか。


「その顔とはなんだ!魔族きってのハンサムボーイだぞ!!」


「はいはい、で会う日なんだけど明日で大丈夫か?」


「明日!?」 


「明日!?」


「なんで2回言い直した」


ザムザは「こうしちゃいられん」と言って部屋に走っていった。おそらく着ていく服や手土産の準備をしているのだろう。たしかに明日会うなんて急だとは思うがしかたない。なぜならこれはコティリア姫が言ったからなのである。



〜先日のこと〜


「コティリア姫なにかご用でしょうか?」


「そのご用というほどではないんですが…」


「何でもお申し付けください。俺にできることなら何でもします」


「勇者様って魔王様とお知り合いなんですよね!?」


「え!??あ、えと、それは…」


「この前も相談役と言っていましたし」


「なぜそれを!!??いや俺が言ったのか」


「お願いします勇者様!!魔王様にあわせてもらえませんか!!」






コティリア姫、意外と握力強いんだな、掴まれた両肩がまだ痛む。


「お〜いちょっとみてもらってもいいか?」


そんなことをかんがえていると扉の向こうからザムザの声が聞こえた。おそらくコティリア姫に会うための服を選んでいるのだろう。最初はどうなるかヒヤヒヤしたが互いに会うことになんら不満はなさそうだしまぁ結果オーライでいいか、俺も推しCPの初対面というビックイベントも見れるし。


「おー見てやるから来いよ」


そして扉が開かれ出てきたのはノースリーブの黒いジャケットにその下は上裸、下はやけにギラッギラとした光を放つダメージの入ったズボン。手には指なし手袋にピンク色の色眼鏡をかけた魔王、ザムザだった。




「うわダッッッサッ!!!」


めっちゃダサいもうこの世のダサいを詰め込んだような感じ、世界ダサい選手権3位以内にはくい込むレベル。


「そこまで言わなくてもいいだろ!?なんだしかも3位以内って1位じゃないのか!?」


「お、心の声を読むなよ」


涙目でザムザは反論するが本当にダサい。こんなのと会うコティリア姫がとても可哀想に思える。


「他のものはないのか?」


「あるにはあるが、これの他はあまり人と会うには向かないのでな…」


「いいから着てこいそれよりはマシだろ」



数時間後





「それよりはマシだろ」そう思っていましたが撤回します。その後にザムザが着てきたものは口に出すのも恐ろしいほどのものだった。結局これが魔族の間では流行だというので一番最初の服で行くことになったのだか、


「ほんとにこれでいくのかぁ…」


「なんだその顔は!?」


「いや、べつにぃ」


コティリア姫は心優しいからたぶん口には出さないけど、どんなに女神でもこんな服やつが会いに来たらドン引き間違いなしだよなぁ。


「この前の花を持っていくのもいいな!あ、この紅茶美味かったからこれも。あと…」


まぁ、当の本人は楽しそうに明日の準備を始めているのでまぁいいか。


そうして大きすぎる不安を抱えたまま姫との面会の日を迎えるのだった。







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勇者の推しCPは魔王✕姫です ゆーさん、 @yuzunarumi

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