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前に、もしかしたらカレンと、思っていたが側にいてそれは可能性が少ないような気がした。
あれからトッリュー家に帰っていない。いや、語弊があるな。週末だけは家に帰らせてくれた。
おかしくない!?
当初の話では週末だけ王宮で過ごす筈だったのに逆転してしまった。
カレンがあんな事するから、こうなってしまったのだ。
家族と会える時間が少なくなり寂しいが、高等部を卒業し大学に進学したとしても 、いずれは婚約し、王太子妃になるのであれば努力をせねばならない。
王宮の生活も、イルシーバとアイシーに可愛い義妹達のお陰で楽しく過ごせている。
ブライアン様も学園に一歩足を踏み入れれば、変わらず無愛想だが、 こうやって馬車の中や、王宮ではよく話しかけてくれた。
それに、ブライアン様は驚く程に心配性だった。
少し、ずつだが、ブライアン様に自分を許していくのがわかった。氷が溶けていくように、ゆっくりゆっくりと、受け入れ、混じり合うように。
マクロから何度が机にメモが入っていたが、開くこと無く捨てた。
私の心の中に、マクロは、もういなかった。
だが、もしブライアン様を好きか、と問われれば、いいえ、と答えるだろう。
それに、王宮での教育よりも、精神的に辛い勉強が毎日あり、それさえなければブライアン様にもっと優しく接する事がで気かもしれない。
いや、そんな些細な言い訳を上げて、逃げたかったのかもしれない。
自分の気持ちが、ブライアン様の一言で、仕草で、微笑みに、どれだけ揺れ動き、戸惑う自分を認めたくなかった。
あの初夜から、一度もブライアン様は私を求めない。
それが、ブライアン様の答えなのだ、と己に言い聞かせていた。
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