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「ふふっ、可愛い反応と顔だね。指南書に書いてあったけど、本当だね。女性の感性をくすぐると蕩けた顔になるって。ルミナは今とても官能的な表情をしているよ」

「そ、そんな・・・んん・・・こと、ない・・・」

蕩けた顔しているなんて、恥ずかしいのにアトラスの甘い声で囁かれると、何故か心地好さを感じてしまう。

アトラスは、私の頬にキスを落とし、両手で私の顔を包み込むと、視線を合わせる。

潤んだ瞳に情欲の炎が灯っている。

「本当に指南書通りだ。女性の嫌がる声が飴のように甘く聞こえて、男は煽られる」

いじるように指を動かし、その度に腰の辺りが疼き、堪らなくなる。

「んんっ。やっ・・・そこ、だ、め・・・」

「私を感じてくれてるんだよ。ルミナの身体が私を求めているのがわかるよ。ほら、ここなんてどうだい」

アトラスの指が下着に触れ、ゆっくりと上に上がり、一番敏感な場所に触れた。

「!!」

声なき声が声が喉を突き、弧を描くように身体が仰け反った。

「やっ!!もう、やめよう・・・やだ・・・」

駄々をこねる子供のようだ、と自分でもわかるくらいアトラスに懇願した。

怖い。自分の身体なのに、知りえない感覚と感触にどうしていいのか分からなかった。

「私を見て、ルミナ。私がルミナに対して嫌な事したある?」

今まで見たこともない不思議な感情の瞳と、熱い吐息を滲ませた切ない声に、ふるふると首を振るしか無かった。

だって、アトラスはいつも私には優しく、嘘をついた事もない。

何時だって私の事を考えてくれる。

「その蕩けた顔で泣きそうになるのは狡いよ。私の理性が飛びそうだ」

言い終わるや否や口づけをし、下着の隙間から指が入り込み、何か、これまで知らない何か異物が侵入してきた感覚に、恐怖を覚えて身体が強張った。

「っ!」

痛みはないが、違和感と圧迫感で中が息苦しくなるようにそれを締め付ける。

それと同時に絡めてくる舌に翻弄され下部に力が入る。

「力を抜いて、ルミナ。痛い?」

唇を離し、アトラスが気にするように質問するが、何故か何を言っても止めてくれそうにない雰囲気に身体は嫌がるどころか、惹き込まれた。

「ううん。いた、くはないよ。でも、わかんない。気持ち悪いような気分なのに、下のお腹の奥が熱くて、熱くてどうしたらいいの?」

首を横に振る。

痛くは無い。

だが、無理やりねじ込まれた様に押し広げられている感覚が苦しいのに、それを逃がさまいと勝手に力が入ってしまいますます熱がこもる。

アトラスは優しく髪を撫でながら、顔中にキスを落としてくれた。

それがとても心地好くて、少しずつ身体の強張りが取れていった。

それを確認したのか、ゆっくりと抜き差しが始まった。

最初は浅く、徐々に深くなっていく。

「ふっ・・・んん・・・アト、ラス・・・?」

「なあに?」

「何、してるの?」

アトラスはクスリと笑うと、私の耳元で囁いた。

「ルミナの大切な中を私の指で、ほぐしているんだよ」

それは、とても卑猥な言葉で、私の顔が一気に真っ赤に染まる。

アトラスはそんな私を見て、楽しげに笑い指を動かし、腰が跳ね上がる。

「今、締まったね。ルミナの中はとても温かいよ。それに、すごく柔らかいよ。指ではなく他のものを入れたいよ」

指を出し入れしながら、私の反応を楽しむかのように口の端を上げた。

「ほ・・・か・・・?」

もう思考が曖昧になってきた。

己の五感全てが秘部に集中していて、アトラスの指に翻弄されている。

そして、ある一点を指が押した瞬間、身体に電流が流れたかのような衝撃が襲った。

「そこ!!・・・やっ・・・!!」

その強い刺激に、目の前がチカチカする。

身体が大きく仰け反り、脚が痙攣し、アトラスの腕を掴んだ。

「ここ、だね」

青い瞳が私を鋭く捉え、さらりと銀色の髪が揺れた。

「いや・・・怖い・・・」

滲む涙に視界が歪んだ。

身体がおかしい。

こんな疼きを知らない。

このままでは、自分が壊れてしまうのではないかと怖くて、アトラスの首にしがみついた。

「ごめん、少し性急過ぎたね。今日はここまでにするよ」

そう言うと、指をゆっくりと出し私から離れると額に軽くキスを落とし、私を起こした。

「・・・アト、ラス・・・」

怖い、と言ったのが自分で、なのにアトラスの身体が離れて行くのが寂しくなる、苛立ちに似た感情に戸惑った。

「泣かないで。ルミナの声と仕草が私をおかしくさせるんだ」

アトラスは自嘲気味に笑うと、私に冷めたお茶を渡してきた。

受け取りながら、おかしくさせる、という言葉にやっと冷静さを取り戻した。

「そ、そうよ!アトラス指南書、指南書と言っていたけど読んでいるのよ!本当は実体験なんでしょ?凄く女性に慣れてた感じだし、く、口付けが凄く上手くてドキドキしたもん!」

一気に捲し立て、一気にお茶を飲んだ。

冷たいお茶が喉を気持ちよく通っていく。

破廉恥な声をあげてしまったから、喉が渇いていたようだ。

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