幽霊
今日は朝から彼がバタバタしていた。霊媒師のところに一緒に行くからだろうが、疲れきった顔をしていてなんだか体調も悪そうだ。見た目で言ったら私より霊媒師に見てもらった方がいいくらいだ。
「ねぇねぇ、大丈夫?別に私だけでもいいんだよ?」
彼は辛そうに耳を抑えて「うぅ…」とだけ返事をした。その後何度か彼に大丈夫?と声をかけてみたんだけど、とても辛そうで返事なんて返ってこなかった。
13時。来いと言われたところに行くと大きな館みたいな建物があった。稼いでるんだなぁ…とか思ってると使用人みたいな人が出てきた。
「13時に予約された○○さんですね。お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」
彼が早足で館へ歩いていく。
「あっ…ちょっと待ってよー!」
走って追いかける。やっぱり今日の彼は何かおかしい。そう思いながら館内へと入っていった。
館内はジメジメしてて暗くて…私はあまり好きではない雰囲気だった。そもそも館にも近づきがたかった。
「こちらです。中で既に霊媒師様がお待ちしております。」
「わかりました…ありがとうございます…」
彼は震えた声で答えた。私も続けて「ありがとうございます。」と言った。
扉を開けると、テレビで見たまんまの霊媒師が座っていた。部屋の中はいかにも霊媒師って感じの部屋だ。霊媒師が座っている椅子の前にある机には水晶玉が置いてある。
「どうぞ、お疲れみたいですね。」
霊媒師は自分の前にある席に座るよう彼を案内した。それにしても、この部屋に案内されてから気分が悪い。私まで具合が悪くなってきた。
「あの…俺…」
「えぇ分かりますとも。言わなくても見えてますから…」
随分と胡散臭い霊媒師だな。やっぱり違う人の方が良かったんじゃない?
「それにしてもめんどくさいのにとり憑かれましたねぇ…死んだことに気づいてない幽霊ですか…たちが悪いです。」
「みっ見えるんですか?!」
「見えます見えます。あなたのうしろにいる"女の人の幽霊"がはっきりと見えますね。」
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