「はっ…またこの夢…」

冷や汗をかきながらベットの上から体を起こす。最近よく見る悪夢…それは彼と大喧嘩をして彼が血まみれになって帰ってくるという夢。しばらく放心状態でいると寝室の扉が開けられる音がした。

「また悪夢?」

心配そうに覗き込んでくる彼を見て安心する。

「そう…本当になんなんだろ」

「一回霊媒師さんとかに相談した方がいいんじゃないか?」

この夢を見る度、いつか正夢になるのではないかという恐怖に襲われる。彼の言うとおり霊媒師さんに見てもらうのが一番なのかもしれない。暗い顔をしている私を見て彼はニコッと笑いながら、でも俺は生きてるから安心してと冗談っぽく言った。そうだよね。彼は生きてるんだもの。これは所詮ただの悪夢でしかないのだから。

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