第39話「新大陸戦略における姉妹2人の作戦会議(後編)」
「それで、守護を選ぶとして、ボクってこれからどうしたらいいのかな?」
千幸の問いに、銀華はそうねえ……と汗をかいたグラスを傾けた。
好きなようにしろとは言ったけど、千幸に丸投げして放り出すつもりはない。
何しろカズハは<ナインライブズ>の先遣隊員であり、今後新大陸でのカズハの振る舞いが<ナインライブズ>の浮沈を左右するのだ。
何てことだ、戦車カバに乗った破壊神がクランの代表者になってしまったぞ!
「そうね、まずは大目標を立ててみましょう」
「大目標……。それはコボルトたちを守護してどうしたいか、ってこと?」
千幸の言葉に、銀華は首を横に振った。
「いいえ、違うわ。それは目先の問題であって、目標ではない。コボルトの守護うんぬんは、いったん頭から忘れよう。物事に手を付けるときは、一番大きな目標を最初に決めるべきなの。目先の問題の対処に追われていては、一番大事な目標を達成できなくなる。考えて、新大陸に単身飛ばされたカズハちゃんは、最終的にどうなるのがいいと思う?」
「ええと……お姉ちゃんのところに戻る! それが一番大事だよ!」
「うん。じゃあエコ猫のところにカズハちゃんを戻す、これが最優先目標としましょう。だけどその道のりは大きく3つ存在していると思う」
銀華は指を1本ずつ立てながら、その道のりを説明していく。
「まず1つは、新大陸から旧大陸への航路を発見すること。ただしそのためには船を造り、船乗りたちを集め、旧大陸がある方角を割り出して長期航海を成功させなくてはいけない。これはおそらく運営が想定している最もメジャーな道。そして最も難易度の高いルートでもある」
「そうだね……。どうやって船を造ればいいのかもわかんないし、船乗りを集めるなんてボクには無理だよ」
しょんぼりと机に視線を落とす千幸に、銀華は苦笑を浮かべる。
元より銀華だって、この人見知りと人間嫌いを同時発症しているコミュ障の塊のような妹にそんなコミュニケーションが取れるとは思ってはいない。
「まあこれは考えなくてもいいわ。正直お姉ちゃんでもこれはちょっと難易度高いなーって思う。一応どうやればいいかは漠然と分かってるんだけどね。たとえば船は海賊の高レベルスキルに【船舶知識】というのがあって、これを取得すれば船大工になれるわ。本人が大工をしなくても、木工職人に指示を出す形で船の建造が可能になるのよ。あとは職人を集めて船を造らせて、同盟を組んだプレイヤーたちに海賊クラスを取得させれば、残る問題は旧大陸の方角だけってわけ。それは探検航海で徐々に明らかにすればいいわね」
銀華の言葉に、千幸はふわーと瞳をまんまるにした。
「……お姉ちゃん、すごーい! ボク、どうすればいいのかまるで見当もつかなかったよ!」
「まあ、それほどでもないわよ。海賊クラスのスキルって正直これまで何のためにあるのかわからなかったのが多かったし。そこから推理すれば、このために用意されてたんだなってことくらいは想像できるわ」
銀華は謙遜してる風に見えて自慢100%で腕組みした。ここがゲーム内なら、猫ひげをピクピクさせてるところだ。
「おそらくこのルートで旧大陸に帰還することで、運営が想定している第一フェーズは終わりを告げる。新大陸への航路が発見され、そして誰もが新たなる土地が産み出す交易品や、新素材を求めて船出するでしょう。第二フェーズ、大航海時代が始まるのよ」
「なるほど……。史実だとスパイスを求めてインドへ航海したのが大航海時代のきっかけだったんだっけ?」
通信教育の社会科で学んだ知識を、千幸が口にする。
「そうね。当時のヨーロッパには古い肉を食べるためのスパイスが不足していた。それまでインドから陸路で取り寄せていたのが、イスラム国家の台頭で道を塞がれたので、海路を開拓しようとしたの。そして地球が丸いと信じていたコロンブスが、西回りでインドに行こうと船を出して新大陸を発見した。それが大航海時代の始まりね」
こんな雑学の話をしてると、どこからかロボが湧いてきて『肉が食えないなら野菜でも食ってればいいのに』とか言いそうだな。
「新大陸にはスパイスとなる唐辛子だけでなく、金や銀といった希少な鉱石、綿花、ジャガイモ、カカオといった大儲けの種がゴロゴロしていた。だからこれらの交易品を得ようと、ヨーロッパ中からこぞって船を出したわけね。このゲームが再現しようとしているのは、そういう歴史よ」
「へえー。なんだかスケールが大きな話だねー」
ほへーと他人事みたいな顔をしている千幸。自分がそのワールドワイドな展開の先兵になるということを、まるでわかってない顔だ。
銀華は苦笑しながら、2本目の指を立てた。
「そして2つめの道は、誰かが航路を発見するまで傍観する。多分これ、新大陸航路さえ確立されれば、その恩恵には全プレイヤーが預かれるんだと思う。もちろん航路を確立した者のクランには何らかのボーナスがもらえると思うけど、独占することはできないはず。ここの運営はそういうの嫌いだからね」
「じゃあ、何もしなくても待ってさえいればそのうち旧大陸に戻れるってこと?」
「そうね。これも推測だけど、大体1、2か月くらいじゃないかな。それまでは各クランが先遣隊にリモコンみたいに指示を出しまくって、スタートダッシュを有利にするための陣取り合戦をさせながら、船の建造をさせるでしょう。だから極論すれば、千幸ちゃんは寝てるだけでもいいし、なんなら2か月ほどログインしなくてもいい」
「そっかあ。でも、それってさ」
千幸の顔に浮かんでいる文字を見て、銀華はニヤリと笑みを返す。
「そうね、つまんないよね。せっかく先遣隊しか味わえないゲームに参加させられてるのに、見てるだけなんて」
「でも、“守護”陣営に加わって“征服”陣営と戦うのもしっくりこないかな。知らない人間と共闘とかやりたくないし……」
「まあ、そこは小目標を詰めるときに話しましょ。で、3つめの道だけど……」
銀華は3本目を指を立ててながら、明らかに気のない顔をしていた。
「これは本当に多分の話、なんだけど……。多分航路を使わずに旧大陸に帰還する方法がどっかにあるんじゃないかな。それを見つけてしれっと戻ってくる、それが3つめの道」
「……すっごいふんわりしてるね」
「だってなんの確証もないもの。本当に可能性の話でしかないし。ただ、この運営ならそういう裏道を仕込んでそうだなって思う」
「あー……」
歯切れの悪い銀華の言葉に、千幸は同じような表情を浮かべた。
誰もが船を造って新航路を発見することに躍起になっている裏にある、海路を使わなくても旧大陸に行ける方法。ここの運営はそういうことを平然とやる。
何しろ誰も行かないゴールデンエッグ+10の世界に、デュプリケイターというド級の爆弾を仕込んでいた運営だ。大勢の人間の盲点を突くことに無上の喜びを感じているとしか思えない。
「……そういえばボクが新大陸に飛ばされたトラップも、なんか隠し要素っぽかったな」
「ああ、あれね。どうも掲示板の書き込みを見る限り、これまであちこちのダンジョンにあった意味ありげだけど何もないスポットがワープポイントになってるみたいよ」
このゲームのダンジョンの作り込みはかなりのもので、プレイヤーを
何かあるんじゃないかと検証勢が徹底的に調べつくしたものの、結局何も見つからず、今では物好きなプレイヤーだけが観光に訪れるフォトスポット扱いになっていた。
そこにアプデで隠し要素が生えてきたと、検証勢は涎を垂らさんばかりの勢いでイキイキと全ダンジョンに突撃している。そこになんとか新大陸争奪戦に参加したい各クランも加わり、現在各地のダンジョンはごった返している。
爛々と輝く瞳で壁という壁を50回ずつ殴って回る検証勢は新種のモンスターのようであった。アイテムやモンスター、ダンジョンのテキストを深読みしまくって、新大陸に行くための方法を説く学会バトルも大いに盛り上がっている。啓蒙が高まり過ぎて脳に瞳でも生えたんか?
「え、それじゃボクが来たピラミッドからも応援呼べるってこと!? やったあ、早速追加の人員を送ってよ! そしたらボク、みんなに任せてコボルトと遊んでるから!」
「いや……多分クールタイムがあるんじゃないかな。一度誰かが飛ばされた場所から、別の誰かが転移に成功したって話はこれまで見たことないし」
「そんなあ」
しょぼんと肩を落とす千幸の様子に、銀華は顎へ細い指を置いた。
「あと千幸ちゃん、壁画の黒い女神の絵を殴ったら転移したのよね? どうしてそれが女神だって思ったの?」
「えっと、なんか黒い服を着て、黒い杖と冠を被って偉そうにしてたからだけど。あと、立ってる場所が祭壇っぽかったし」
「……黒い服と杖、冠ね。千幸ちゃんって、キャラメイクし直したときに私がプレゼントした黒いゴシックドレス、愛用してくれてたよね?」
「え? うん。だけど杖や冠なんて……」
そこまで口にして、千幸は口を閉ざした。
心当たりがあったのだ。
ゴールデンエッグの世界に潜ったときにボスモンスターから手に入れた、“影の王冠”と“影のワンド”というレアドロップ。装備こそしていなかったが、あれはまだアイテムボックスに入っていたはずだ。エコ猫にあげるつもりで、すっかり忘れたままボックスの肥やしになっている。
「だよね? 『黒い服を着て、黒い杖と王冠を所有している人間種族の女性アバターが壁画の黒い女神の部分に触れる』。多分それがあの場所の転移の条件で、千幸ちゃんはそれをたまたま満たしてしまったんじゃないかな」
「え、でもあれはゴールデンエッグから手に入れたものだよ? 導線がめちゃめちゃじゃない、なんでピラミッドの仕掛けに関係してるの?」
「多分黒い杖と王冠ならなんでもいいんだよ。ピラミッドのボス、ブラックファラオのレアドロップは“審判神の王笏”と“黒王神の宝冠”で、どっちも黒だもの。本来はその2つを装備したプレイヤーが触ることを想定してたんじゃないかな」
「ゆ、緩すぎる……!」
千幸はザルな判定に頭を抱えた。そしてよく考えたら緩い方がプレイヤーをどっきりで新大陸送りできて運営にとってはオイシイことに気付き、ますます頭痛にうめく。謎解きを偶然で解かれた方が嬉しい運営とか無敵か?
「クールタイムが明けてないと思うけど、とりあえず応援は送ってみるわ。うまくいったらラッキーだけど、多分無理だと思うから期待はしないで」
「うん……。ちなみに誰を送ってくれるつもりなの?」
「ゴリミットとヨッシャカッシャ。あいつらなら戦力として頼りになるし、千幸ちゃんもそこまで人見知りしないでしょ」
確かにこの2人は千幸にとっても浅からぬ付き合いがある。
ついでに言えば同盟クランのエースを新大陸に送り込めたとなれば2人の所属クランにも恩を売れるから、同盟も盤石になる。さすがお姉ちゃんだと膝を打つグッドな策だった。
「うん、そっか。ありが……」
感謝を口にしようとした千幸が眉を寄せる。
「え? ゴリミットとヨッシャさんにゴシックドレス着せるの?」
「着せるけど?」
それが何と言わんばかりの顔をする銀華に、千幸はいやいやと声を上げた。
「おかしいよね!? 男の人だよ!?」
「大丈夫大丈夫、ゲーム業界は性差にうるさいからそれくらい許容するでしょ」
「ボクが嫌だよ!? マッチョなゴリラとトカゲがゴスロリ姿で祭壇に出てくるとか!」
「確かに壁画の内容的に人間種族の女性アバターじゃないと反応しない可能性はあるか……。まあ無理なら無理で、アバターを一瞬変えさせるから安心していいよ」
転移したらまたゴリラとトカゲに戻すのか。
千幸はどうしてもゴシックドレスを着たあの2人が脳裏にこびりついてしまい、救援に来てほしいような絶対見たくないような微妙な気分にさせられた。
本音を言えばお姉ちゃんに来てほしいが、今が<ナインライブズ>にとって大事な時期であることも理解している。エコ猫がクランハウスを留守にすることはできない。新大陸ではゲーム内チャットもできないのだから。
だから千幸はその本音をごくりと飲み込んだ。
「救援が来るかはどうあれ、ボクのルートは決まってる。3番だよ」
「まあ、そうよね」
銀華は不本意そうな色を滲ませながらも、その選択になるのも仕方ないと納得した。
「ボクは新航路開拓に参加するつもりはない、かといってログインしないのもつまらない。ならあちこちのダンジョンを渡り歩いて、帰る方法を探すかな。旧大陸から新大陸に飛ばすトラップがあるんなら、その逆も必ず用意されていると思うの」
「そうね、雲をつかむような話なのが難点だけど……とりあえず周辺探索を進めてみるのがいいわ」
「うん! 周囲のダンジョンぜーんぶ制覇しちゃうから!」
しかしこれ、わかってるのかな……と銀華は不安になりながら一応確認する。
「でもダンジョンだけじゃだめよ? とりあえずコボルトたちの村を大きくしないと。彼らに文明をもたらし、村を発展させ、勢力を拡大する。ダンジョンを制覇するのもいいけど、そこも小目標というのは忘れないで」
「えー、あの子たちはあのままの生活で良くない?」
「 」
思ってもみなかったことを言われ、愕然とする銀華。
千幸は何がそんなに不思議なのかなという調子で続ける。
「だって、あの子たちは今のままで生きていけてるんだよ。必要な分の獲物だけを狩り、大地と精霊に祈りを捧げる素朴な狩猟生活! 素敵だよね、あこがれちゃうなあ。ボクもそういう生活がしたいもん。人間は余計なものを抱えすぎなんだよ」
「……確かにそれはそうかもしれないけど」
そういえば千幸はそういう気質だった。過去の人類が物質文明と引き換えに失った精神的なものに、過剰な期待を抱いてしまうタイプ。一種の中二病である。
銀華はこめかみを揉みながら、言葉を選んだ。
「だけど千幸ちゃん、征服派は周囲の村を襲うよ? 掲示板の情報によれば、コボルトの村を征服すると、彼らを奴隷労働させるプランテーションを建設できるらしいの。ここで生産できる綿花からは強力な装備品を作れるから、これを目当てにどんどん他の村を襲って勢力を拡大していくはず」
「そんなのボクが蹴散らしてやるもん」
「だけど、千幸ちゃんはダンジョンの制覇もするんでしょ? 留守の間に村が襲われたらどうするの? コボルトたちにも自衛の手段が必要なのよ。そもそもモンスターにだって襲われているくらいなんだから。敵は征服派だけじゃないんだよ」
「うー……」
銀華の言葉に、千幸は不機嫌そうなうなり声を上げる。
もちろん、千幸は銀華の指摘の正しさを理解している。理解したうえで、感情が納得できていないのだ。
しかし銀華は、千幸ならここまで言えば必ず受け入れてくれるはずだと確信している。何故なら妹の戦闘に関するセンスは、銀華ごときでは及びもつかないからだ。
千幸は銀華の言葉を噛みしめるようにむっすりと考え込むと、やがて溜め息を吐いた。
「そうだね、自衛手段は必要だ。あの子たちの村は敵に囲まれてる。征服派とモンスター。それと他の守護派」
ほら見ろ、と銀華は自分の妹を世界に自慢して回りたい気分になる。自分があえて口にしなかったことまで、千幸はしっかり理解していた。
千幸が守護する村を、他の守護派が襲わないとは限らないのだ。
千幸は守護派陣営に過剰に加担する気はない。そういう協調性が足りない者に村を任せておくくらいなら、攻め落として自分の仲間に村を任せた方がいいではないか。
守護派はあくまでもコボルトたちを搾取から守ることを掲げているのであって、必ずしも平和主義者というわけではない。
日本の歴史でいえば、戦国時代の守護大名を想像するといい。彼らは自分の民を守護する義務はあるが、他の大名を争いから守ってやる義務はない。むしろ隙を見せたら積極的に襲い掛かり、領地を増やして守護する民を増やす。
それはおかしなことでも何でもない。能力もない者が守護者を名乗ることは不相応なことだし、それならもっと能力のある自分が代わってやった方がいいだろう?
そもそも征服派だろうが守護派だろうが、根底は旧大陸にいるクランの利益のために拠点づくりを行う先遣隊という事実も忘れてはいけない。史実の新大陸に入植が行われたとき、入植者の祖国がどこかで大きな対立が生まれた。
この新大陸に突如発生した戦国時代は、表向き征服派と守護派の2陣営しかいないように見えて、実は旧大陸でのクラン同士の関係も入り交ざった植民地戦争でもある。それはもう複雑怪奇な模様を描くことは、現時点で目に見えているのだ。
「じゃあ、小目標設定タイムといこうか。千幸ちゃんは村を守るためにどうすればいいと思う?」
「……村人に自衛手段を与える」
「うんうん、それから?」
「村を襲うモンスターを排除する」
「うん、他には?」
「……本当に嫌だけど、守護派と仲良くする」
「うん。具体的には? 仲良くしたいです~♥ なんて言っても、攻めない理由にはならないよね。攻めさせないためにはどうする?」
「ええと……」
姉妹の作戦会議は、夜が更けるまで続いた。
そして翌日、カズハは再びコボルトたちの前に姿を現した。
祭壇が設置された洞窟から出てきた少女を見て、コボルトたちはどよめき声を上げる。
確かに誰もいなかったはずの洞窟から現れたからだけではない。
昨日は着けていなかった、真っ黒な冠を頭に乗せていたからだ。その冠は陽光を浴びながら一切照り返すことなく、ただ光を飲み込むような漆黒の色をしていた。
そんな彼らに見えるように、カズハは影のように真っ黒なワンドを掲げて叫ぶ。
『コボルトのみなさん、ここに宣言します! ボクはみんなの守護者になります! みんなを支配しようとする邪悪な侵略者から守りますから、ボクを信じてついてきてください!』
その言葉を理解できたコボルトはいなかった。
当然だ、カズハが語ったのは神の世界の言葉なのだから。
地上に生きるコボルトたちが、神の言葉を理解できるわけがない。
しかしそれでも彼らに理解できることはあった。
彼らが古くから信仰する文明神にして破壊神、“黒の女神”。
かつて獣人に数多の知恵と栄光を与え、一切の敵対者を打ち砕いたと伝えられる大いなる女神が今、再び地上に降り立ったことを。
そして女神が自分たちの守護者であると宣言したことを。
ならば今こそ、自分たちは……ええと……。
「女神様! 我々を表す名前をくださいませ!」
その場に跪いて祈るコボルトたちを代表して、チッキが声を張り上げる。
一族の巫女である彼女は、コボルトの中で長老以外に唯一女神と直接言葉を交わすことを認められていた。
≪あなたが導くコボルトたちの集団に名前をつけてください≫
『え、名前? 村の名前がほしいってこと?』
チッキの言葉は女神に通じなかったようだが、
女神はそのたおやかな指先を麗しい
『うーん、四方八方を敵に囲まれた立地だし……ここはあえて困難を乗り切るという願掛けで、<
この日、神聖国家<ファイアホイール>の輝かしい歴史が幕を開けた。
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ファイアホイールは13年前に書いたやる夫スレからの命名です。
経済がテーマの作品で縁起が悪すぎるって?
とことん押し通せばそれが当たり前になるんだよ。
昔から読んでくれてた人への一種のファンサービスです。
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