閑話 後悔の足跡①
2008年3月6日実験報告書
晴山研究所
研究主任:岳癌時 土岐
XEに関する研究報告
移植被験者を経過観察した。
結果から分かった事を簡潔に記す、彼女は元気だ。
XEの移植開始から3か月、初期のマウス実験で見られた様な拒絶反応も、抑制剤により抑えられている。
それだけでなく、徐々に適合までしている。
現在の適合率はおおよそ56.676%程とみられる。
実に好調である。
この調子でいけば、早ければ来年頃にはXE増産計画、或いは元素生成計画も達成できそうだ。
また、他にも被験者の持病が治療しつつもある。
マウス実験段階で確認されていた重度の病をも治療させしめる凄まじい回復能力も確かに発現した。
最近では実験スタッフとも楽し気に会話をしており、彼女の病はその内完治しそうである。
これならば副産物的に医療分野への転用も出来そうだ。
しかしながら、一つ懸念すべき点もある。
被験者の肌に膨れ上がりの様な物が見られるのだ。
マウス実験段階でも見られた症状が、被験者にも表れている。
赤黒い腫れ上がりを調べたところ、極めて強いXEが確認された。
抑制剤を投与しても、この症状は治まらない。
早急に対策を考えなければならないだろう。
新しい設備が必要だ。
それにあたり、研究所本部にはさらなる研究予算の追加を期待する。
現在の予算では、やや足りない計算となった。
詳しい計算は別資料として載せておく。
……個人的な話になるのだが、最近何故か悪い夢を見る。
なにか、酷く恐ろしい悪夢を見るのだ。
それは東京にXEが満ち、凄まじい災害を引き起こす夢だ。
ああ、分かっている。
これはあくまでも夢だ。
きっと私は疲れてしまったのだろう。
近々休息を取ろうと思う。
しかし、我々は何か大きな間違いをしているような気がしてならないのだ。
……この感覚が間違いであることを祈る。
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