第二十一話 バレンタインで、見つけたい!

あれから一か月。もう二月という寒い季節になって来た。

 分かった情報は三つ。一年三組がすっごく怪しいこと。そして、全クラス少しずつ邪楽の匂いがすること。最後に音楽室すいそうがくぶぶしつにも邪楽の匂いがすること。

 これから一大イベントによって、真実に近づいて行くことを私は知らなかった。

第二十一話 バレンタインで、見つけた

 二月十四日、バレンタインデー。学年末旅行で、前方後円墳を見に来た。

 私達が考えた邪楽候補は三人はノートにまとめられている。

 『一人目、園部そのべゆかり。一年三組学級委員長、吹奏楽部所属。先生から厚い信頼を置いている。音楽の授業だけ真面目に受けない』

 『二人目、森涼也もりりょうや。一年三組保健委員会、吹奏楽部所属。一週間に二回ほどしか練習に来ない。サッカー部と掛け持ち』

 『三人目、武岡浩太。一年二組。森涼也と仲が良いサッカー部部員。あだ名はタピオカ』

 その三人を警戒しながら、学年末旅行だ!

 「わぁ――、これが前方後円墳なんだ!」

 「大きいでつね」

 「ふーん」

 すごい、これが世界遺産!離れた所からしか見られないけれど、すごさは伝わってくる。これを見るために来たと思うと、何だか良かったな、という気持ちが大きくなった。

 タピオカさんが、私のクラスの先生と仲良く話しているだけだから、ボスでは無さそう。

 「あっ、歩翔サン……」「これっ、もらってください!」

 五人の女子が、歩翔君に何やら渡した。これは……チョコ!?

 バレンタインだから、かな…。皆がかわいそうな気がしてきた。だって歩翔君の性格が最悪ダメダメなのを知らないんだよ!

 「ここに着いた班から、報告してくださー――い」

 学年主任の宇神先生が叫ぶ。すると梛が即座に報告してくれた。

 「ではここで昼ご飯にしたいと思いま――す」

 先生の声にゾロゾロと移動を始める。

 ご飯を食べる時は班行動じゃないから、私はさっちゃんとゆずちゃんと梛で食べることにした。ふぅ、歩くのが疲れた~!


〇┃⌒〇┃⌒


 お次は演劇!私は劇場に来ている。バラバラと席について、開演を待つことになった。タピオカさんも園部さんも、行動を起こしそうに無い。

 誰がボスなんだろう、と考える。全然まったく分からないけれど、絶対ボスを倒したい!

 司会者さんの声に、私は舞台を見つめる。早く始まらないかな、ワクワクッ。楽しみだなっ。

 主人公役の人が、舞台に出て来た。それとともに音楽も流れ出す。

 感動が胸からあふれ出る。もうすぐで一年生も終わり。そう思うとちょっと悲しいな。

――♩♪

 音楽が流れるとより心も踊る。でも……音楽が段々と消えて行く。。

――♪ジッ……ジッ。

 これは、邪楽!?神様エキスパートの邪楽は音源を消すって言ってた…。邪楽の神様エキスパートは邪楽のボス………。じゃあやっぱり、私達の学年にボスがいるの!?

 「これってボスのせいだよね……」

 「うん。後、和音ちゃん先生達が全然いいひんの。何でやろ、まさか邪楽のせいじゃ……」

 私は後ろの席にいる希沙ちゃんを見る。コクッと頭を揺らした希沙ちゃんはすぐに奏兄弟に伝えてくれた。演劇は、音楽を使っている。なら邪楽は狙いどころのはず。

 「ニャ――、一度出て話し合いたいと希沙が言ってるニャ」

 「分かったよっ」

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